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「学習参考書」売り場にビジネスマン急増のナゼ?

「不況だからこそ歴史振り返りたい」と

 本来ならば学生しか足を踏み入れない書店の学習参考書売り場に最近、40代以上のビジネスマンが社会科の教科書や資料集、年表を買い求めにきている。その動きを聞きつけた出版社は急きょ、「ビジネス年表」を刊行した。不惑を過ぎて大学受験用の書籍を買いあさるという奇妙な行動の背景には何があるのか。

 書店の街として有名な東京・神保町の三省堂書店。周辺は予備校や大学も多く、学習参考書売り場は昼間、学生でにぎわっている。ところが最近、「お昼休みと夜に多くのビジネスマンが来る」と売り場担当の大杉麻実さん(24)は話す。

 「売れ筋は高校生用『政治・経済』の参考書や、世界史、日本史の教科書。自分で学習するために買われているようです。1カ月に一度は40代以上のビジネスマン風の方が『歴史年表はないですか?』と聞いてきます。『日本と世界(の歴史)が一緒に入ったような年表が欲しい』と言われるのですが、売り場には大学受験用が1種類、それ以外だと小学生用のポスターになってしまうのです」

 受験用年表は「中国」や「欧州」といった地域別の歴史を紀元前から現代まで細かく羅列している。だが、平成に入ってからの表記は少なく、購入する客がいる半面、あきらめて帰ってしまう客も少なくないという。

 「年表は類書が少なすぎる」と感じた大杉さんは、昨年秋に出版された『東大合格生のノートはかならず美しい』を取り扱った際、たまたま接点ができた文芸春秋の営業マン、江坂寛さん(43)にこうしたビジネスマンの動きを伝えた。

 江坂さんは「いま、ビジネス書では『仕事術』や『勉強法』が売れているが、名経営者ものやマルクス関連書なども売れている。文芸春秋でいえば、10年以上前に出版した内橋克人さんの『規制緩和という悪夢』が今になって、また売れている」と語る。そこで、「不況だからこそ歴史を振り返りたいという思いがあるのではないか」と考え、ビジネス年表の企画を編集サイドに持ちかけた。そして6月下旬、『その先が読めるビジネス年表』(日本の論点編集部)の発刊にこぎ着けた。

 年表では、バブル前夜から現在までの約30年間を「日本経済」「産業の盛衰」「技術革新」「IT」「家族」などに10分類して網羅。日本経済が奈落の底に落ちるまでの経緯が一目で理解できる。

 発売から約10日たったが、編集担当者は「東京や大阪の都心部の大手書店ではそこそこの売れ行き」という。これについて、三省堂書店のマーチャンダイザー、加納淳一さん(34)は「若いビジネスマンや就職活動中の学生の中にはバブルを知らない人も多い。近年のビジネス界の大まかな流れをつかみたいという欲求は、多くの人が持っているのではないか」と分析している。

ZAKZAK 2009/07/09

ビジネス年表

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