北九州市は9日、市立若松病院(天野拓哉院長)で3月に、若松区の80代男性患者が医療ミスにより死亡したと発表した。50代の男性麻酔科医が患者の腹部レントゲン写真で胃腸の内容物を確認しないまま脊椎(せきつい)麻酔をして、手術中に胃液や胆汁の逆流を招いたことが主因という。市は麻酔科医を厳重注意処分にするとともに、損害賠償について遺族と協議する。天野院長は「誠に申し訳ない」と謝罪した。
市によると、患者は3月11日に受診し、内臓の一部が足の付け根から皮膚の下にはみ出る脱腸になり、元に戻らなくなっているため、緊急手術が必要と診断された。手術が始まって約40分後、患者は胃液などが気管に入って呼吸状態が悪化、意識が戻らないまま同27日に肺炎で死去したという。
同院は6月まで続けた検証で、麻酔科医が手術前に患者のレントゲン写真を確認しなかったことなどをつかんだ。麻酔科医は「緊急手術前に別の手術が2例あり、写真を確認できなかった」と説明したという。【平元英治】
〔北九州版〕
毎日新聞 2009年7月10日 地方版