西日本新聞

「お父さん、つらかったね」 中国人強制連行遺族、軍艦島上陸できず 悪天候 洋上で涙の追悼式

2009年7月8日 01:30 カテゴリー:九州 > 長崎

 戦時中、長崎市沖の端島(通称・軍艦島)の炭鉱に強制連行されて亡くなった中国人の遺族が7日、島で追悼式を営むため、初の上陸を試みたが、悪天候でかなわなかった。「ここまで来たのに」。遺族は涙を流して目前の島を見つめ、持参した花と故国の酒を海に流した。

 「お父さん、大変だったね、つらかったね」。遺族の王樹芳さん(68)=中国河北省=は、亡き父・雲起さんが生涯を閉じた島に向かい、洋上から涙声で呼びかけた。

 同省で教師を務めていた雲起さんは1944年、日本の憲兵に連行され、端島炭鉱で強制労働を強いられた末に亡くなった。3歳だった樹芳さんは父の面影を覚えていない。“再会”は終戦から2カ月ほどたった45年10月ごろ。同様に強制連行されていた中国人が、家族の元に届けたのは雲起さんの遺骨だった。

 当時は幼すぎて父の死を理解できなかったが、大きくなるにつれ会いたい思いが募った。

 軍艦島を訪ねるのは、2002年、04年に続き3回目。洋上から島を見ただけだったが、今年島への上陸が解禁されたことを聞き、出国前には「初めて上陸するよ」と墓前に報告してきた。しかし、折からの高波に阻まれ、約束は果たせなかった。

 「お父さん、ここまで来たけど手が届かない。また絶対来るから」

 顔をくしゃくしゃにして叫んだ樹芳さんは下船後、報道陣に語った。

 「過去のことは絶対忘れないが、将来を見つめようと思った。日中両人民はとこしえに友好的でありたい」

=2009/07/08付 西日本新聞朝刊=

おすすめ情報【PR】
アクセスランキング
  1. 国道凍結解除 要らぬと地元は言えない
  2. 西鉄社長 1000円高速に怒り バス...
  3. 性犯罪多発 警戒の夏 福岡県 4年連...
  4. 九州3国道 事業再開へ 評価監視委...写真付記事
  5. イベント会場で移植手術費募る 雄一...写真付記事
おすすめ情報【PR】
天気・交通情報
九州・山口の天気 福岡の天気 佐賀の天気 大分の天気 長崎の天気 熊本の天気 宮崎の天気 鹿児島の天気 九州・山口の天気 交通情報
九州のりものinfo.com
イチオシ! 特集記事
博多祇園山笠 【博多祇園山笠】
7月11日 他流舁き
7月12日 追い山ならし
 【投票】ニッポンの教育費 増やすべき?
 【芸能】世界一周の間寛平さんNY到着
 【ニュース】新型インフルエンザ 集団感染は終息
 【将棋】王位戦半世紀 祝賀会に歴代王位
注目コンテンツ
47CLUB探検隊

小ノ上果樹園のプラム2kg【送料込み】 (福岡県・小ノ上果樹園)

小ノ上農園のすもも (すももレシピ付き) すももが身体に効くって知ってますか? 昔から保存食として、干したりエキスにした...

>> 記事を読む

>> 47CLUB探検隊へ