2009年7月8日 12時10分 更新:7月8日 13時23分
高校生の4人に3人が、学業を続ける上で何らかの金銭的な困難を感じていることが、埼玉県の定時制高校生が呼びかけたアンケート調査で分かった。4人に1人は「学費で家族に迷惑をかけて申し訳ない」と回答しており、経済環境の悪化が学ぶ場を直撃している様子が浮かんだ。
調査は、生徒たちが日本高等学校教職員組合の協力を得て呼び掛け、全国10道府県の公立の全日制、定時制(昼、夜)、通信制の1549人から回答を得た。夜間定時制生徒が815人で、全日制生徒は366人。他は昼間定時制や通信制生徒。経済的な理由で退学する仲間が目立ち始めたことがきっかけでアンケートを思いついたという。
金銭にかかわる16項目を調査。「学費が高く通い続けられるか不安」は8.7%、「通学費の工面が困難」は7.4%、「参考書が買えない」が4.4%だった。24.7%が、学費で家族に迷惑をかけていると思っていた。
定時制(夜間)、通信制では20%を超える生徒が授業料を自分でまかなっていた。「奨学金をもらいたい」が12%あったのに対し「もらっている」は3.9%と差が際立った。16の質問に一つも該当しないのは24%にとどまった。
アンケートを呼び掛けた埼玉県内の定時制3年生の女子生徒(17)は、携帯の製造工場で時給800円で毎日8時間、週6日働き、学費と生活費をまかなっている。女子生徒は「お金がかかって申し訳ないと自分を責める人が私の友人にもおり、切ない。全日制も定時制も、安心して勉強できる環境に変えていきたい」と話している。生徒たちは26日午後1時から埼玉県三郷市の「三郷鷹野文化センター」で集会を開き、アンケート結果について話し合う。問い合わせは同県立小川高校定時制の鈴木敏則教諭(090・1437・9824)。【東海林智】