2009年7月10日13時32分
出入国管理法の改正で在日外国人向けの新たな在留管理制度が3年以内に導入されるのを受け、森法相は10日、不法滞在でも特別に在留資格を与える「在留特別許可」のガイドライン(指針)を見直すと表明した。判断を左右する「積極要素」と「消極要素」の具体的な内容を追加。指針をより明確にすることで、国内に約13万人とされる不法滞在者の出頭を促す。
「積極要素」は本人が長期間(20年以上)日本で暮らしているなど。一方、消極要素も重大犯罪で刑罰を受けたなどと具体化した。従来は子が中学生以上なら認められる例が多かったが、新指針では「学校に通い、10年以上日本で暮らす子と同居している」としており、実質的に対象を広げた部分もある。
すでに申請済みの事例にも適用する。これまでに不許可となったケースでも、再申請があれば新指針で判断する。
在留特別許可は、「基準があいまい」として外国人の支援団体や弁護士から批判が強かった。4月に両親が帰国し、長女だけが在留を認められたフィリピン人のカルデロンさん一家のケースでは、不法滞在の発覚時に小学5年生だった長女が裁判で争ううちに中学生になったこともあり、大きな論争となった。両親は偽造旅券で入国していたことから、法務省は「新指針でも許可されない」としているが、指針の明確化で、同様の事例で今後は迅速な判断、解決が期待できるという。(延与光貞)
■新たに追加したガイドラインの主な内容
◎小、中、高校に通い、10年以上日本で暮らす実子と同居
◎本人や親族が難病で、日本での治療が必要
○自ら出頭して不法滞在を申告
○日本滞在が20年以上になる
○永住者、定住者、日本人配偶者など、資格を持つ外国人との結婚が安定
×凶悪犯罪や薬物・銃器の密輸入などの重大犯罪で刑罰を受けた
△密航、不法入国
△犯罪組織の構成員など
◎・×=特に考慮する積極・消極要素
○・△=その他の積極・消極要素