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「平常」の水面下で厳しい取り締まり続く ウルムチ

2009年7月9日22時7分

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 【ウルムチ(中国新疆(しんきょう)ウイグル自治区)=西村大輔、奥寺淳】5日に大規模騒乱が起きたウルムチでは9日、中心部に展開していた大量の治安部隊が一気に減り、商店が再開するなど平常の市民生活が戻りつつある。だがウイグル族に対しては、水面下で厳しい取り締まりが続いている。

 8日まで市内では、当局が車両の通行を制限し、大通りには装甲車や治安部隊員を満載したトラックが並んでいた。外出する市民の姿も少なかった。同日夜、ジラ・イサムディン・ウルムチ市長が「政府機関や警察などの努力により、事態は既に制御した」と収束を宣言すると、9日から交通規制が解除され、多くの商店が営業を再開した。厳戒ぶりを強調していた地元メディアは一斉に平常に戻った市民生活を伝え始めた。

 7日に漢族に襲撃されたモスクの近くにある朝市では、早朝から大勢の住民が野菜や果物などを買っていた。露店で豆乳を売っていた張勝利さん(50)は「昨日まで材料が手に入らず、商売にならなかったが、今朝は1千杯が完売だ」。

 だが、ウイグル族居住地区では取り締まりが続いている。ウイグル族の自営業の男性(37)は「銃を構えた治安部隊が家に押し入り、容疑者かどうかにかかわらず、若い男がいれば片っ端から拘束して取り調べている」と明かす。知人からは「危険な目に遭っていないか」と安否を気遣う電話が次々とかかってきていた。ウイグル族の抗議デモに加わった男性は「摘発が怖くて3日間自宅に戻らず、友人の家を泊まり歩いている」と話した。

 居住地区では武装警察隊員がかけ声を上げながら巡回し、騒乱が激しかった地区に通じる道路やバザール周辺は、今も治安部隊による厳重な警戒態勢が敷かれている。9日、最高指導部で司法担当の周永康(チョウ・ヨンカン)・党政治局常務委員がウルムチ市を訪ねて治安部隊をねぎらった。

 ウルムチ市公安局は、刑の免除や減刑と引き換えに自首を呼びかける一方、逃亡を続ける者やそれをかくまう者を厳罰に処するとの緊急通告を出した。通告はまた、携帯電話やネットでデマを流したりする行為を厳禁し、密告を奨励している。

 イサムディン市長は8日の記者会見で、市政府が騒乱の死傷者に対する弔慰金として計約1億元(約14億円)を用意していることを発表した。当局が遺体のDNA鑑定を進め、身元が確認された遺族が対象になる。現在も入院中の1千人余りの負傷者には、7日から市職員が訪問を始めた。損害を受けた財産についてもできるだけ援助する方針という。

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