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【2009都議選】

とうきょうご当地争点<1> パンダ誘致 毎年1億円 財源は?

2009年7月3日

ジャイアントパンダの解説ボードが残ったままになっているパンダ舎の屋外展示場前=東京都台東区の上野動物園で(中西祥子撮影)

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 「上野動物園にパンダを呼び戻します」。観光客や買い物客らが行き交うJR上野駅前。都議選立候補予定者の一人が声を張り上げた。

 昨年四月、ジャイアントパンダのリンリンが死んでから、上野動物園は“主役不在”が一年二カ月も続く。パンダ復活にかける地元台東区の思いは熱く、国政、都政での主張の異なる自民、民主、共産の三人の立候補予定者が一致して公約に「パンダ誘致」を掲げるほどだ。

 これなら誰が当選しても誘致に障害はなさそうだが、ことはそう簡単にはいかない。

 リンリンが死んだ直後、日中首脳会談で日本へのパンダ貸与が合意された。しかし、当時はギョーザ中毒事件やチベット問題で中国に対する国民感情が悪化。パンダを飼育する各地の動物園が、毎年一億円とされる保護活動支援金を中国側に提供していることに、批判の声が上がった。

 石原慎太郎知事も、「法外な値段」と不快感を表明。その後、受け入れに向けた具体的な動きはない。

 自民の服部征夫氏は「中国に言うべきことは言うが、子どもたちのためにパンダと政治は切り離すべきだ」と党内も含む反中国感情に神経を使う。

 「パンダは環境保護のシンボル。動物園の入園者減を食い止めるためにも必要」というのは民主の中村明彦氏だ。共産の小高明氏は「種の保存のために世界各地で飼育して、経費の面でも助け合おうという考えだ」と主張する。

 パンダ誘致の意義については三氏の主張に大差はない。違いが出るのは一億円の捻出(ねんしゅつ)方法だ。服部氏は「野生動物保護のための基金なら誰もが賛成できる。企業などから寄付を募っていく。宝くじ協会に寄付を求めるのも一案」という。中村氏は「来園者から一人百円のパンダ保護基金を募ってはどうか」と提案。小高氏は「希少動物の保護という意味で都が支出してもまったく問題ない」という立場だ。

 上野観光連盟の二木忠男会長は「政治的な絡みは抜きにして、民間で誘致を盛り上げていきたい」と話す。

 「上野にパンダが来れば、一億円以上の経済効果は上がるはず」と地元関係者は口をそろえる。しかし、最後は異口同音にこう付け加えた。「結局、あの人(石原知事)の意向次第なんですよね」

  ◇   ◇

 「総選挙の前哨戦」と形容される都議選だが、首都・東京の各選挙区には、全国の人たちにとっても気になる課題が多い。そんな「ご当地争点」を洗った。

◇立候補予定者=都議会勢力順

◆台東区(定数二)

服部征夫66 学校法人理事  自現<3> =公

中村明彦62 都環建副委員長 民現<2>

小高明60 (元)台東区職員  共新 

(注)左から氏名、年齢、肩書、届け出予定

党派、現・元・新、当選回数、公は推薦政党

 

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