トップ > 特集・連載 > 2009都議選 > 特集・連載一覧 > 記事
【2009都議選】とうきょうご当地争点<3> 高層マンション 住民増加防災対策は2009年7月5日
地震で電気が止まったら―。 四十階を超えるタワーマンションが四棟建つ東京都港区の芝浦アイランド。高層階に住む会社役員の榎本茂さん(49)はいつも不安を感じている。「エレベーターの非常用発電機の燃料は補給できるのか」「復旧まで何日も籠城(ろうじょう)できる食料があるか」 都によると、港区には高さ百メートル超の建築物が九十九棟あり、都内最多だ。六本木ヒルズや東京ミッドタウンを抱え、芝浦や港南、汐留などの海岸沿いもタワーマンションの建設が相次ぎ、区の人口は急増。特に芝浦・港南地区はこの六年で四万二千人に倍増した。 高層建築物は、地震が起きると建物が倒壊しなくてもエレベーターが止まり、復旧に一週間かかるとされ、高層階の住民が孤立しかねない。榎本さん自身、三年前に首都圏で起きた大規模停電で、真っ暗な非常階段を手すりにすがって下りた体験をした。数時間で復旧したが「今でも恐ろしくなる」と話す。 行政の対策は必ずしも進んでいるとは言い難い。高層建築物は明確な定義もなく、国や都はもとより、住民に密接なはずの区でも、タワーマンションの住民数すら把握していない。都会の「死角」といえる。 港区はようやく今年三月、専門家や住民らによる懇談会を開き、震災対策の基本方針を策定。新築マンションに飲食品の備蓄倉庫の設置やエレベーターの閉じ込め防止対策などを、開発業者に義務付けることも検討課題に盛り込んだ。ただ、条例や要綱など方針を具体化する手法の検討はこれからだ。 自民・来代勝彦さんと、自らもタワーマンションに住む民主・大塚隆朗さんは、エレベーターへの燃料補給や新築時の備蓄倉庫の設置を進めると訴える。共産・大塚未来さんは、「防災上からも問題」として超高層ビルの建設そのものに反対の立場だ。 タワーマンションの大規模被災はこれまで例がなく、東京でも都心部に特有の課題。そのため、争点としての広がりがなかった。榎本さんは「都議選で関心が高まることを願う」と話している。 ◆港区(定数二)大塚未来31 党地区相談室長 共新 来代勝彦64 党総支部長代行 自現<1> 大塚隆朗49 (元)建設相秘書官 民現<2> 鍋島久之45 幸福実現党員 諸新 伊藤英樹41 (元)証券会社員 無新 (届け出順)
|