東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 特集・連載 > 2009都議選 > 特集・連載一覧 > 記事

ここから本文

【2009都議選】

とうきょうご当地争点<6> スーパー堤防 街づくり ビジョン示せ

2009年7月8日

反対を訴えるのぼりがはためく北小岩地区の住宅街=江戸川区で

写真

 東京都江戸川区北小岩の江戸川沿いに広がる住宅街。そこかしこに「スーパー堤防建設反対」ののぼりがはためく。

 江戸川区は、東京湾と荒川、江戸川に囲まれ、区内の七割が海抜ゼロメートル地帯。江戸川沿いに「スーパー堤防」を整備する方針が打ち出されたのは五年前のことだ。水害対策のための国家事業。江戸川右岸の北小岩地区二・二キロなどが対象で、整備したスーパー堤防の上に、区は区画整理事業も進める。

 区は「ひとたび(既存の)堤防が決壊すれば、江戸川区は甚大な被害を受ける。集中豪雨も増える中、危険性は増しており、スーパー堤防の上は一時避難場所にもなる」と意義を強調する。約一・四ヘクタールの先行モデル地区について、本年度内に区画整理の前提となる都市計画決定を目指す。

 北小岩地区の事業計画が実施されれば、千八百世帯が一時移転を余儀なくされる。反対派は「長期間にわたる移転が必要になり、住民の負担が大きすぎる」「巨額の税金の無駄遣いだ」と訴えている。

 自民・公明の候補は「住民合意が前提だが必要なものだ」との立場。自民・田島和明さんは「移転に伴う補償などを手厚くすべきだ」と指摘し、自民・宇田川聡史さんは「都も調整役として長期的な整備計画を立てることが必要だ」と話す。公明・上野和彦さんは「スーパー堤防だけでなく、千葉県側への避難経路を確保するための橋梁(きょうりょう)整備も進めるべきだ」との意見だ。

 共産・河野百合恵さんは、「住民の負担や犠牲があまりにも大きい。街を壊すことにもつながる」として計画撤回を訴える。

 民主・笹本尚さんは「賛成か反対かということだけに問題を矮小(わいしょう)化せず、全体の街づくりのプランを明示しなくてはならない」と言う。民主・田之上郁子さんは「地域住民が参画してこその街づくりに住民が置いてきぼりになっている」と指摘している。

 反対派の住民でつくる「スーパー堤防・街づくりを考える会」の運営委員長、戸口素男さんは「国と区の事業とはいえ、都議選の立候補者もしっかりと意見を示してほしい」と話している。

写真

 <スーパー堤防> 大洪水による被害を防ぐことを目的とした大規模な堤防。従来の堤防の市街地側に幅200〜250メートルにわたって緩やかな傾斜で盛り土をして、耐震性も高める。堤防上に広大な土地が生まれるため、各自治体は区画整理事業などの街づくりも進める。国は、江戸川や利根川など首都圏と近畿の6河川で事業を進めているが、進ちょく率は5.5%にとどまる。

◆江戸川区(定数五)

宇田川聡史44 党都議会副幹事長 自現<1>

田島和明58 都警察消防委員長 自現<4>

河野百合恵59 都都市整備委員 共現<2>

上野和彦56 党都政策局次長 公現<1>

蒲原宏史34 幸福実現党員  諸新 

笹本尚47 (元)江戸川区議  民新 

田之上郁子39 (元)江戸川区議  民新 

 =ネ

 (届け出順)

 

この記事を印刷する