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辻井さん遊んだミニピアノ、売れまくり 1カ月待ち

2009年7月10日8時40分

写真:辻井伸行さんが幼いころに遊んでいた機種と同じミニピアノ。オルゴールのような音色が響く=浜松市中区の河合楽器製作所辻井伸行さんが幼いころに遊んでいた機種と同じミニピアノ。オルゴールのような音色が響く=浜松市中区の河合楽器製作所

 米国の国際ピアノコンクールで優勝した全盲のピアニスト辻井伸行さん(20)が幼いころに親しんだおもちゃのミニピアノが、売れに売れている。辻井さんの優勝以来、製造元の河合楽器製作所(浜松市中区)には注文が殺到し、生産が追いつかないほど。我が子や孫に使わせたいと、父母や祖父母らからの問い合わせが引きも切らない。

 ミニピアノは、河合楽器が84年に販売を始めた。主に幼児が対象の知育玩具で、弦の代わりに金属製のパイプをハンマーでたたいて音を出す。正確な音程と音の強弱をつけられることが特徴で、オルゴールのような澄んだ音色を奏でる。鍵盤の数やデザインの違いで8機種(4千〜1万8千円)を用意。辻井さんが遊んでいたのは、鍵盤が25あるタイプ(5775円)だ。

 河合楽器によると、玩具メーカーなどが作る電子音の鳴るキーボードやミニピアノは数多いが、楽器メーカーが作る本格的なアコースティックのミニピアノは国内では同社だけが手掛けているという。

 6月7日に辻井さんがバン・クライバーン国際ピアノコンクールで優勝すると、幼いころにミニピアノで遊んでいたことが朝日新聞などで紹介され、問い合わせが殺到した。例年、6月は1千〜1500台が売れるが、今年は月3千台に迫る売れ行き。河合楽器広報課は「全国で品薄になっていて、これまでにない売れ行き」と話す。

 同社に隣接する直営店「浜松ショップ」には、祖父母らから「辻井さんが使っていたものと同じものがほしい」などの問い合わせが相次いでいる。担当者は「早々に在庫が底をつき、入荷まで1カ月待ちの状態」という。

 「カワイ名古屋」(名古屋市中区)では、6月だけで90台が売れた。例年の6月の販売台数は5〜6台で、同店は「クリスマス需要がある12月でも30台程度なので、とにかく驚いている」。東京の旗艦店「カワイ表参道」(東京都渋谷区)でも6月に50台近くを売り、例年の約4倍の売れ行きという。

 ミニピアノとともに、おもちゃの木琴なども売り上げを伸ばしているという。河合楽器広報課は「辻井さんの演奏に感動し、幼いうちに音楽に触れさせて感性を磨きたいと考える親御さんたちが増えているのではないか」と話している。(滝沢隆史)

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