民主党の鳩山由紀夫代表が献金虚偽記載を自ら公表してから7日で1週間。与党が連日指摘する独自調査結果に対し、鳩山氏は記者会見などで反論し、「疑惑ありとのイメージ作りだ」と反発、衆院政治倫理審査会への出席の可能性も示唆した。ただ、元公設秘書が虚偽の記載をした動機などは相変わらず明らかにしておらず、与党にとっての追及材料を残した形だ。
鳩山氏の反論は、自民・公明両党のプロジェクトチームの指摘のうち▽鳩山氏が代表を務める党北海道第9区総支部が市町議ら42人から毎年12月25日に1万2000~64万円の献金を受けており、不自然▽地元政治団体「鳩山由紀夫後援会連合会」(北海道室蘭市)の政治資金収支報告書に、事務所の家賃支出が計上されていない--の2点に対するもの。鳩山氏が「党と個人の問題は別」として問題の調査を依頼している五百蔵(いおろい)洋一弁護士から「党にかかわる部分」などと要請を受けた平野博文役員室長が調査した。
調査結果では、9区総支部の献金について、活動資金を確保するため、議員の歳費に応じて「議員党費」として徴収しており、道内の他の総支部も同様と説明。地元政治団体の事務所費については、同団体は日常的な事務所使用の実績がなく、実際に事務所を賃借している「北海道友愛政経懇話会」が家賃を毎月支払い、報告書にも記載しているとしている。7日党本部で開かれた役員会、常任幹事会で報告され、異論なく了承された。
鳩山氏は7日の会見で、与党側の「虚偽記載は寄付の上限逃れや脱税の意図ではないか」との指摘に対して「母からは毎年150万円の上限いっぱい献金してもらっており、それ以上ない。相続税対策という思いは全くない」と反論した。
一方で、元公設秘書の虚偽記載の動機については「いまだに正確に把握をしていない」と述べるにとどまった。鳩山氏はこれまで「推測」と注釈した上で「個人献金が少なかったから」「企業献金がなかなか集まらない焦り」などと説明を二転三転させている。
5万円以下の匿名個人献金の割合が高い点については「もともとは非開示の話だけに、法的な観点を含めて弁護士が判断する」と述べ、報告書への記載義務がないことを理由に公表に消極的な姿勢を示した。【佐藤丈一、野口武則】
毎日新聞 2009年7月7日 21時27分(最終更新 7月8日 1時42分)