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(2)復活/届け夢 女子でプロに2009年07月02日
◇4年ぶり出場の幸手商 「ナイスキャッチ!」 「もう一丁!」 梅雨の雨上がりの午後、幸手商(幸手市)の渡り廊下に、柔らかい声が響いた。2人の小柄な選手がゴロを転がし、捕球の基本練習を繰り返していた。長い髪が、湿った風に揺れた。 小林奈緒美(1年)と、本多志穂美(同)。2人は女子部員だ。 部員不足だった幸手商は今夏、4年ぶりに大会に出場する。3月までの部員は4人。4月に1年生が9人入部し、試合ができるようになった。 ◇内野でマウンドで 小林も本多も小学生の時、少年野球チームに入った。中学も野球部で、公式戦には出られなかったが、小林は「打てるようになったり、難しい打球を捕れるようになったりするのが楽しい」と言う。本多も「何が起こるか分からないのが魅力。野球を教えてくれた父に成長を見せられるのは、野球だけ」と言い切る。 2人の初対面は、4月の入部の日だった。「女子がもう1人いるよ」。小林は、顧問の嶋村秀樹教諭(45)に教えられ、驚いた。急いで教室に行くと、本多が待っていた。 「ポジションはどこ?」 すぐに打ち解けた。 2人とも、女子の入部希望者は自分ぐらいだろうと思っていた。もし選手として認められなければ、同好会をつくるか、ソフトボール部に入ろうと考えていた。小林は「ずっと1人で野球をすることになるかもしれないと思っていた。うれしかった」。 男子が捕り損ねる打球をさばく時もあるが、体力差を痛感して悔し泣きしたことも。6月の練習試合で、小林は二塁手、本多は左翼手と投手を任された。ともに無安打で、小林は失策1、本多は5失点。力不足を思い知らされた。 日本高野連の規定で、女子が公式戦に出場できないことは知っている。それでも野球にこだわるのは、具体的な夢を持てるようになったからだ。 ◇主将「大きな存在」 高校受験の少し前。本多は友達の自宅で、パソコンを使っていた。インターネットで流れたニュースに、目がくぎ付けになった。 「女子初のプロ野球選手」 関西独立リーグの神戸に、変化球を操る高校2年生(当時)の吉田えりが入団するという話題だった。自分の夢が夢だけで終わらないかもしれない。そう思った。テレビで同じニュースを知った小林は「女子でも、ここまで行けるんだ」と、目を輝かせた。 「えりちゃんのようなプロ野球選手になりたい」。それが2人の共通した思いだ。 3年生にとっては最初で最後の大会だ。「私は甲子園に出られないから、みんなを応援する」(小林)、「みんなをサポートして、自分も上達したい」(本多)という。部員集めに奔走した主将の小川智己(3年)は「出場できてとてもうれしい。2人の存在は大きい」と信頼している。=敬称略
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