民主党の鳩山由紀夫代表の資金管理団体による政治資金収支報告書虚偽記載問題で、鳩山代表が虚偽と認めた05~08年以外に、02~04年の報告書にも故人などからの架空名義の疑いがある献金が記載されていると、自民・公明両党のプロジェクトチーム(PT)が3日、発表した。延べ47人の総額906万円の献金について、虚偽献金の疑いがあると指摘した。【篠原成行、杉本修作】
PTによると、鳩山氏の資金管理団体「友愛政経懇話会」の05年の報告書で、鳩山氏が架空名義だったと認めた52人と同姓同名、同住所の人物の名前が▽04年26人(計458万円)▽03年15人(計386万円)▽02年6人(計62万円)--と確認できたという。
さらに年間5万円以下で献金者名などを記載する必要がない匿名献金が▽04年4749万円▽03年8180万円▽02年4431万円--と巨額だったことや、鳩山代表が代表を務める民主党北海道第9区総支部が、北海道の市町議ら42人から毎年12月25日に1万2000~64万円の献金を受けていたことを指摘。PTメンバーの村田吉隆衆院議員は「これらの献金は不自然で、鳩山氏には説明責任がある」と述べた。
政党支部に献金したとされる苫小牧市議は「支部の運営費の一部を負担するために、地元市議が決められた額を振り込んだだけ。偽装献金ではない」と主張している。
鳩山代表は既に、05~07年の報告書の訂正を総務省に届け出ている。個人寄付者について▽07年48人(計522万円)▽06年38人(計541万円)▽05年52人(計708万円)--を削除。削除した寄付金計1771万円を鳩山代表の「貸し付け」と訂正した。
PTの指摘について、鳩山事務所は「具体的な内容を聞いていないのでコメントできない」と話している。
虚偽献金疑惑をめぐっては、定例道議会は最終日の3日、自民党・道民会議が鳩山代表に全容解明と説明責任を求める意見書の採択を提案し、自民、公明、共産の各会派の賛成多数で可決された。一方、民主党・道民連合は「政治的意図が見え隠れする」と反発。本会議を含めた日程がずれ込み深夜に閉会した。次期衆院選を間近に控え、両会派はつばぜり合いを演じた。
自民の道見重信氏(札幌市北区)は総合政策委員会で「道への政治資金収支報告書に虚偽と不正を含めた報告があるのか」と質問。民主の委員が「虚偽、不正を前提に(質問)するなら、審議は続けられない」と反発し、審議が一時空転した。
最終的には、質問を事実確認などに限定することで双方が妥協。道見氏は、07年に民主党北海道第9区総支部に個人献金をしていた市町村議員24人、道議2人に、寄付金控除の証明書が出されていたことに触れ「仮定の話だが(実際は本人からではない寄付という)虚偽の報告で証明書が出され、税の所得控除に使われていれば詐欺になる」と主張した。
意見書は「最終日の2日前まで」という申し合わせに反して急きょ提案された。自民の道議は「鳩山代表を辞任に追い込みたい」。民主の幹部は「(自民は)衆院選があるから仕掛けてきた」と話した。【堀井恵里子、鈴木勝一】
毎日新聞 2009年7月4日 北海道朝刊