[ウルムチ(中国) 9日 ロイター] 中国の胡錦濤・国家主席は9日、新疆ウイグル自治区の区都ウルムチで発生した暴動について、この地域の社会的安定を確保することが「最大の緊急課題だ」と述べた。国営テレビが伝えた。
少数派のウイグル族と多数派の漢民族との対立から、ウルムチで5日に暴動が発生。これまでに156人が死亡、1080人が負傷したと伝えられている。
胡主席はこの暴動について「国内外の『3つの勢力』により慎重に計画、組織された、非常に暴力的な犯罪行為」と非難した。「3つの勢力」とは、宗教過激派、分離派、テロリストを指すとみられる。
胡主席は8日に中部イタリアで開幕した主要国首脳会議(ラクイラ・サミット)に出席するためにいったんはイタリア入りしたものの、ウルムチで暴動が続いていることから、サミットには出席せず急遽帰国した。
同主席は8日夜、中国共産党中央政治局に対し、ウルムチの当局は暴動を扇動している少数の人々を「隔離し、打撃を与え」、その他の大多数のウイグル人を「結束させ、教育する」方針をとるよう要請している。
新疆では、経済格差や政府による宗教弾圧などをめぐり、イスラム教徒であるウイグル族と漢民族の間の対立の火種が絶えず、平時でも厳しい警備体制が敷かれていた。ウルムチには漢民族が多く流入したため、同市では漢民族が多数派となっている。
今回の暴動で中国の金融市場は影響を受けていない。