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在日外国人タレントさんが愛するニッポン映画!

ドイツ出身(フランスとドイツのハーフ)のアデイトさん 〜Adeyto Rex Angeli〜
お母さんはフランス人、お父さんはドイツ人というアデイトさん。ご両親が親日家で、子供の頃から家に水墨画の掛け軸があり、神秘さに惹かれて日本に憧れていたそうです。その影響もあってか、絵画を皮切りに役者、シンガー、映像制作と貪欲な創作活動を続け、現在にいたります。そんな才能溢れるアーティストのアデイトさん。同じくマルチな才能を発揮しているジリ・ヴァンソンさんとは「姉弟のよう」に仲が良いそうです。

めて日本に訪れたときは、大好きなお城(姫路城)をまず見に行きました。お寺も好きで奈良の東大寺にも行きました。感動することばかりで、とにかく「絶対ここに住む!家には帰らない!」って思いました(笑)。
旅行中、駅で迷っていると、おじいちゃんやおばあちゃんが英語で話しかけてきてくれて、スゴイ優しかったのを覚えています。日本は、例えばパン屋さんとかのお店でも「いらっしゃいませ」と、笑顔で優しく声をかけてくれて、とても素晴らしいです。多くの外国人は、そういった「愛想?」を、日本人の「フェイク」と思っているようだけど、私はそれを本当の優しさだと思っています。バイオレンスが多いハリウッドと違い、日本の映画にそんな「優しさ」がにじみ出た作品が多いのは、きっとそうした国民性から来ているのではないでしょうか。

きな日本の映画は、『明日の記憶』。『トリック』や『溺れる魚』とか、堤幸彦監督の作品はすべて好きなんですけど、『明日の記憶』はとても泣けたので、特にお奨めです!
この作品は人間として最低限持つべき良識と気持ちが描かれています。若年性アルツハイマーに侵された夫とその妻の愛がテーマなんですが、この病気は、通常65歳くらいの年齢でかかりやすく、8人に一人は発症するという、誰にでもかかる可能性がある病気なんです。そういう意味でとても考えさせられる内容ですし、悲しいだけでなく美しいメッセージが込められていました。映画にはアドベンチャーやコメディも必要だけど、こういった深い作品はどんな国にとっても大切な意義を持つのではないでしょうか。

堤監督は天才だと思います。カメラの動きとか、日本のドラマを見ていても、他の監督達が彼のセンスをすごく盗んでいるのがわかります。個性的な演出のイメージが強い監督なので、『明日の記憶』はそれまでの彼の作風とはちょっと違うと多くの人が捉えているみたいですけど、堤監督は(何度かお会いしたことがあるのですが)、人間のはかなさや 悲しさをすごく解っている人なんです。深い気持ちがあるからこそ、監督として様々なジャンルを表現できるのではないでしょうか。この映画の影響で渡辺謙さん、樋口可南子さんのファンになりました。日本映画ではないですけど、渡辺謙さんが出演した『ラストサムライ』も最高ですね。日本人の良さがちゃんと描かれていると思います。




明日の記憶
トリック劇場版
溺れる魚

野武監督も好きなんです。特にミュージカルのようなシーンのある『座頭市』はヨーロッパでも人気がありました。あと、実相寺昭雄監督も昔から憧れていました。実は昨年、念願かなって実相寺監督が総合監修をした映画『シルバー假面』に出演したんです。3話のオムニバスのうちの一話で主役を演じたのですが・・・。残念ながらお会いする前にお亡くなりになられて、とても悲しかったです。

日本にいて、役者やモデルとしての出演機会をとてもいただけました。今後は役者はもちろん、映像制作のほうにもっと力を入れていきたいです。憧れている日本の監督さん達に近づけるように・・・。




ラストサムライ
座頭市(北野たけし)
シルバー假面 1(通常版)

アデイトさんのアートなHPはこちら


パラグアイ出身のトニーさん 本名Anthony Bulnes
日本人にはあまり馴染みのない国「パラグアイ」出身のトニーさんは、日本のゲーム機、アニメを見て育ったとか。留学をきっかけに日本でデザインの勉強を始めますが、訪日後ファンになったという「相川七瀬」さんとの不思議な縁で、現在、相川さんが所属する事務所でマネージャーとして活躍。さて、そんなトニーさんが愛するニッポン映画とは・・・?

ラグアイの特徴というと、サッカーが強いくらいですかね(笑)。サッカー好きの人はパラグアイというと、よく選手の名前を言ってきます。あと、特産品のマテ茶が今年になって日本に輸入されてきた!ので、マテ茶のおかげでパラグアイが有名になるかもしれませんね(笑)。
パラグアイは去年『ハンモック』という作品が色んな映画祭で賞を受賞したんですが、実は国内で映画を作ることは稀で、上映している映画はハリウッド作品が圧倒的に多いんですよ。テレビドラマはメキシコやブラジルの作品が人気ですね。
パラグアイのドラマというと、シンデレラストーリーばかりです(笑)。中でも『タリア』という有名な女優(歌手でもある)が出演するドラマは人気があるんですけど、いつもすごく貧乏な人がお金持ちの人と出会って、恋をして、結婚して、お金持ちになるっていうストーリーなんです(笑)。とても単純です。

日本の『おしん』も放映していました。昼の一時にやっていたのですが、すっかりはまってましたね。あとは十年位前に、まず『聖闘士星矢』が放映されて日本のアニメブームが始まったんですよ。『ドラゴンボール』、『るろうに剣心』 と続きましたね。
笑ってしまうんですけど、パラグアイでは未だに日本に対して、まだ馬に乗っている〜忍者〜サムライ〜芸者といったイメージがあって(笑)。日本の自動車とかもかなり入ってきているのに!アニメで見る現代的な生活はあるけど、それは作り物だと思っているんですよ(笑)。僕の好きな『大奥』なんかが放映されたら、もっと誤解されるかもしれないですね!




EVERYBODY GOES
(相川七瀬)
聖闘士星矢
THE MOVIE BOX

大奥劇場版

本の映画の中で、一番好きな映画は、『下妻物語』です。映画が上映されていたときから気になっていたんですが、残念ながら見逃してしまったのでDVDを買いました!
『カミカゼガール』というタイトルでフランス・アメリカでは上映されたらしいんですが、残念ながらパラグアイでは やっていません。そのうち上映されるかもしれないですけど、母国の人たちにもぜひ見てもらいたいですね。『下妻物語』は現代的だし、日本の若者の文化が良く見える。こういうのを見せれば誤解が解けるかも!?
シーンの中で一番気になったのはあの「フリフリの格好(ロリータファッション)」」!僕ら外国人は東京に来ると決まって原宿に行きたがって、コスプレの子とかを写真に撮るんですよね〜。なのでDVDで見たときには「ハラジュク!」って(笑)。あと「ニセモノのベルサーチ」のエピソード。実はパラグアイにもブランドの「バッタ物」がすごく多くて(笑)。なので、そのエピソードは親近感が沸いてとても面白かったです。

同じ監督の作品『嫌われ松子の一生』も大好きで、DVDを持っています。とにかく絵がきれい。僕はどちらかというと目から入るものに惹かれるタイプなので、すごく興味深い作品です。
全然タイプが違いますけど、『フラガール』もパラグアイで上映してほしい!絶対ウケルと思います。もちろん、DVDも持っていますよ!




下妻物語
嫌われ松子の一生
フラガール

トニーさんが働く相川七瀬さんのオフィシャルHPはこちら


イラン出身のサヘルさん 本名SAHEL ROSA

幼い時に戦争でご両親を失なったという辛い過去を持つサヘルさん。苦労された経験をバネに大学で情報学を学びながら、ラジオのナビゲーター、レポーター、役者として大活躍しています。今でもイランにはたまに帰国されているそうですが、日本でもっと活動の場を広げながら、育ての母親に恩返しをしたいと熱く語っていただきました。

のお母さんがペルシャ絨毯職人だったんですけど、日本の会社に呼ばれて住むことになり、私もついてきました。それが8歳の時ですね。小学2〜4年生までは校長先生につきっきりで日本語のレッスンをしてもらい、小5になって初めてみんなと一緒に授業を受けました。『ガンダム』『セーラームーン』が私の日本語の家庭教師でしたね(笑)。『セーラ ームーン』には衝撃を受けましたよ。イランでは女性は絶対に肌を出してはいけないので、すごいな〜と思った。ちなみに、イランで流れていた日本アニメは『海のトリトン』、『キャプテン翼』、『聖闘士星矢』などです。あと、『おしん』は、今でもイランで(12年くらい!)放映されています。なので、イランの友人が日本にくると、まず「おしんのデパートはどこどこ?」って聞いてきます(笑)。
その影響というわけではないんですけど、間違いなくイラン人は他国の中では日本が一番好きだと思います。自由・住みやすい・安全というイメージが強く、実際そうですから。ただ、日本の人の遠まわしな話し方や遠慮とか、ストレートに話さないところに戸惑うところはありますね〜。イスラム圏はすごくストレートだから。
アニメやドラマに登場する日本人独特のキャラクターにも、たまに「じれったいな〜」という気持ちが(笑)。でも、イランではテレビもインターネットも制限されて、簡単に外の国の作品が見られないので、「こういうタイプの人もいるんだ、こういう考え、アイデンティティがあるんだ」という勉強が、作品を通してできるんですよ。

ラン国内のドラマは嫁姑問題・夫婦喧嘩の作品ばっかり!学園ドラマは一切ありません。一夫多妻制なので、姑VS第一夫人、第二夫人とか(笑)。映画では、世界的に有名なのはアッバス・キアロスタミ監督ですね。最若手監督の作品 で『りんご』や、日本でも流行った『運動靴と赤い金魚』とか・・・。国内では最近、『マックス』という映画がすごくヒットしました。イランで革命が起きた後、アメリカへ渡った歌手や俳優が、イランに招待される話なんですが、革命前では使ってはいけない言葉をたくさん使っているのでよく放映したなと思いました(笑)。イランの映画は政府を皮肉った映画が多いんですよ。なぜなら、そうでもしないとイランでは国民が政府に抗議が出来ない、言いたい事が言え ないから。国民の代わりに映画監督達が言いたいことを発信するので、メッセージ性の強い映画が多いんです。まぁ、そういう映画は放映されて一週間で上映中止になりますけど、止められても監督達はそういった映画を作り続けるし、たくさんの国民が見に行きます。例え一週間だけでも、メッセージを伝えることは大きいことです。
イラン人は映画がとにかく大好き。映画館もたくさんあって、値段も500円くらいで安いんですよ。仕事に就けない人が多いので、家の中で寂しくしているよりも、外に出て気分を明るくしていたい人が多いんです。




おしん完全版太平洋戦争編
りんご
運動靴と赤い金魚

本の映画ではホラーが一番好きです。『リング』を筆頭に『仄暗い水の底から』とか。
イスラム圏では、幽霊とか怨念とか輪廻とか、亡くなった人が甦ったりすることは信じられていないので、日本のホラ ーを見て「何この生き物は?!」といった感じで(笑)、とにかく驚きました。見たことも、聞いたこともない「もの」が出てくるんですもん!初めて見たときはビックリしました!もう、早送りしっぱなしでしたけど(笑)。
ある番組のレポーターをしている時に、ホラー特集をすることになったので、仕方なく我慢して見ているうちにすっか りはまってしまいました。今ではレンタルショップでもホラーを中心に借りています。海外のホラーも見ますけど、日本の程怖くない。日本のホラーは気持ちいいくらいに怖いです!奥から来る怖さ?があるし、音楽が怖い!とても効果 的ですよ。

あとは、ホラーではないですけど、『デスノート』が大好きです!CGだらけの映画(ホラー以外)はあまり好きではないんですけど、初めて違和感がなく、面白いと思った作品です。
今後は声優にチャレンジしていきたいので、こんな作品に出演できたら嬉しいですね!




リング
仄暗い水の底から
DEATH NOTE デスノート

サヘルさんの可愛いHPはこちら