あのイチローがうろたえた。突然、泣かれてしまって、どうしていいやら…。天才の辞書に、『乙女の涙』なんて文言はなかった。
「初めて会うわけじゃないから、ちょっとぶったまげたけど。おれ、なんか悪い人みたいに見えて、いやだなぁ」
『ジャパニーズ・ベースボール・ナイト』と銘うたれ、タレントの萩本欽一(68)が監督を務める茨城ゴールデンゴールズの片岡が始球式に登場。“事件”は試合前の練習中に起こった。
3年前のオフ、片岡がイチローの自主トレに参加したお礼を言った。
片岡 「3年前はありがとうございました」
イチローがこの時のことを覚えてくれていて、感極まった片岡の目から涙があふれ出た。
イチロー 「なんで泣いてるの? どこか痛いの?」
片岡 「ど、どこも痛くないですぅ…」
イチロー 「どこも痛くないの? じゃあ、なんで泣くの? 会うのは初めてじゃないでしょ。キャッチボールもしたじゃん」
もうダメ。イチローはオロオロ…。城島と打撃用の手袋をプレゼントし、試合でも“ごめんね”の意味を込めて五回に右前適時打を放ち(5打数1安打1打点)、勝利をプレゼントした。
「カッコイイです! もう一生の思い出です。頂いた手袋も、もう宝物です」。泣きはらした片岡は大感激。両リーグトップの打率は.360のイチロー、何とも罪作りでした。