面白い正統派RPGとは、この『フライ・ド・チキン』のようなゲームのことを言うのではないか。ちょっと大げさかもしれないけど、それだけよくできた作品だと感じました。何がすごいって、ゲームをプレイしたあとに、"何となく面白かった"という感想以外はほとんど残らなかったんですよ。これって、かなりすごいことなんじゃないでしょうか。
目を見張るような斬新なシステムがあるわけでもなければ、何人もの美少女ヒロインが出てくるわけでもない。主要キャラクターは個性的だけど、奇抜というほどでもない。RPGとしてはシンプルすぎる部類に入ると思う。そんなゲームがなぜ面白いのか。ありふれた表現だけど"バランスがいい"のひと言に尽きるだろう。飛び抜けて個性的なシステムがあるのではなく、弱点がほとんどないのだ。オーソドックスなターン制フロントビュー形式を採用した戦闘の難易度は適度だし、村人たちとの会話内容やキャラクターのセリフにはムリがない。ストーリーの描き方も絶妙で、物語に引き込まれてしまう。
ゲームを開始すると誰かの精神世界を描いたかのようなオープニングがスタート。意味深な会話が展開され、謎の男性が扉の奥に消えていく。場面は変わって、どこかの村が映し出される。ここで登場するのが主人公の純血コカトリス"テン・ピン"だ。テン・ピンが友人のフェルを探しに行くと、記憶を失った青いコボルドと出会う。このコボルドの存在がストーリーのキモになっており、謎めいたオープニングと関係していそうな演出が随所に挿入されている。これもまたうまい。先が気になってしまい、どんどんゲームを進めてしまう。
本作をプレイしてわかったことがある。傑作RPGに斬新なシステムが必要とは限らないということだ。シンプル イズ ベスト。これぞまさにRPGのお手本(ミスユースケ)。
★作者コメント |
だらだらと作っていたので、完成にこぎつけるまでとても長い時間がかかりました。少し、味が濃い口かもしれません。ケモノとかその辺。 |
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