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「たくさん殺せるからガソリン使った」放火容疑者供述

2009年7月7日15時4分

写真:高見素直容疑者高見素直容疑者

 大阪市此花区でパチンコ店が放火され、客と従業員計23人が死傷した事件で、殺人と現住建造物等放火などの容疑で逮捕された高見素直(すなお)容疑者(41)=此花区春日出北1丁目=が、「一度にたくさん殺せるから、ガソリンを使った」と供述していることが大阪府警への取材でわかった。府警によると、高見容疑者は200万〜300万円の借金を抱え、現在は定職に就いていないといい、生活に困窮していたことが、犯行動機につながった可能性があるとみている。

 捜査関係者や高見容疑者の自宅付近の住民らによると、高見容疑者は約2年半前に現在の自宅マンションに引っ越してきた。その際、「運送会社に勤めている」と周囲に話していたが、事件当時は定職には就いていなかった。一方で、複数の消費者金融から金を借り、総額は200万〜300万円まで膨らんでいたという。

 府警によると、高見容疑者は逮捕後の調べに対し、「仕事も金もなく、人生に嫌気がさした」と供述。大量殺人を図るため、ガソリンを使ったとの趣旨を説明したという。「通り魔みたいに誰でもいいから人を殺したいと思い、人が多数いるところに火をつけた」とも話しているが、なぜ、自身の生活の困窮が殺意につながるのかや、現場のパチンコ店を選んだ詳しい理由についてはまだ話していないという。

 これまでの調べでは、高見容疑者は事件当日の5日午後、此花区のホームセンターでガソリン携行用タンクやバケツ、マッチを買い、さらに同区のガソリンスタンドでガソリン10リットルを購入。自転車で現場のパチンコ店「cross(クロス)―ニコニコ」=此花区四貫島(しかんじま)1丁目=まで出向き、同日午後4時15分ごろにガソリンをまいて放火し、4人を死亡させるなどした疑いが持たれている。

 店の防犯カメラには、高見容疑者がTシャツにジーンズ姿で、バケツでガソリンをまいてマッチで火をつける様子が映っていた。高見容疑者は自転車を店の外に残したまま逃走した。店内から炎が上がる様子を振り返って確認し、その後、テレビのニュースで多数の死傷者が出たことも知っていたという。

 高見容疑者は広島市出身。実家から福岡県内に転居し、98年から06年7月までは春日市のマンションに住んでいた。最初の1年ほどは妻子も同居していたという。さらに06年8月に鹿児島県いちき串木野市のアパートに移り、約2年半前から此花区の現在のマンションで生活していた。この間、トラック運転手などをしていた。

 高見容疑者は調べに対し、「この店に何度か客として訪れたことはあるが、店側とのトラブルはなかった」などとも話している。山口県警岩国署に出頭した理由については、話していないという。

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