2009年7月1日3時14分
政治資金収支報告書に故人などからの献金が記載されていた問題で、会見する民主党の鳩山代表=30日夕、衆院第1議員会館、河合博司撮影
民主党の鳩山代表は30日、国会内で記者会見し、自身の資金管理団体「友愛政経懇話会」の収支報告書に記された献金者に故人や献金していない人の名義が使われていた問題をめぐる調査結果を発表した。虚偽記載を認める一方、経理を担当した公設秘書の独断だったと結論づけ、代表辞任は否定した。虚偽献金の原資は、鳩山氏本人の資金だと説明した。
秘書の行為は政治資金規正法違反(虚偽記載)にあたるとして、与党側は政治責任を追及する構えだ。特に原資について鳩山氏の資金であることを証明し、詳細を明らかにするよう求めており、総選挙に向けて民主党は火種を抱え込んだ。
会見には、鳩山氏が調査を委託した弁護士も同席した。公設秘書は、会計責任者である政策秘書のもとで経理の実務を担当。弁護士の聴取に対し、「05年以前から故人を含め毎年数十件、虚偽の寄付を記載した」と認め、その動機について「本来は直接寄付をお願いすべきだったが怠ったため、事実でない記載を繰り返してしまった」と説明したという。
公設秘書は、実際には受けとっていない献金を穴埋めするため、政治資金が不足した時などに備えて預かっていた鳩山代表個人の資金を流用。こうした虚偽献金は、年に400万〜700万円、05年からの4年間で193件2177万8千円にのぼった。氏名を使われたのは約90人で、複数回使われた人もいた。公設秘書は、この事実を鳩山氏にも政策秘書にも打ち明けていなかったという。
鳩山氏は「国民に心配、迷惑をかけ、おわびする」と陳謝したうえで、公設秘書を解任し、虚偽献金を鳩山氏からの貸付金と改める収支報告書の修正を届け出たことを明らかにした。自らの責任に関しては「監督責任は当然ある」としたが、「説明責任を果たしていく中で代表としての職責を全うしたい」と語った。
鳩山氏は秘書の動機については「私に対する個人献金があまりに少ないので、そのことがわかったら大変だとの思いがあったと推測している」と説明。弁護士も「(担当者の)自己保身だと思う」と指摘し、より多くの個人献金を集めたと見せかけるためだったとの見方を示した。
鳩山氏は30日午後、代表としての定例記者会見を党本部で行ったが、「政治家個人と代表の立場を切り分ける」(幹部)として別途、説明のための会見を同日夕、衆院議員会館の会議室で行った。