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台湾、日本代表と面会せぬ「報復」 「地位未確定」発言

2009年7月6日19時53分

 【台北=野嶋剛】日本政府の台湾窓口、交流協会台北事務所の斎藤正樹代表(大使に相当)が孤立の憂き目にあっている。きっかけは、斎藤代表が今年5月に「日本がサンフランシスコ平和条約で台湾の領有権を放棄した後、台湾の地位は未確定」と発言した問題。反発した台湾側がその後2カ月にわたり、馬英九(マー・インチウ)総統ら政権幹部は斎藤代表と面会せず、同席も避けるなどの「報復措置」を講じている。

 台湾紙の報道によると、斎藤発言に馬総統は激怒し、斎藤氏更迭を要求するよう指示した。部下の説得で撤回したが、斎藤氏と政権幹部の接触を控えて抗議の意を表し、「早期の代表交代」を日本側に促す考えとみられる。

 日台双方の外交筋によると、馬総統以外にも、蕭万長副総統、欧鴻錬外交部長(外相)ら政権幹部が面会を控えている。他国からの主要な代表や大使が招待され、馬総統らが出席する式典にもほとんど声がかからず、代表業務に支障をきたしている。

 交流協会は、公式には「台湾側の措置には一切コメントしない」としている。日本外交筋は「代表交代はあり得ない。正常化を働きかけている」と語る。

 微妙な戦後処理の問題である台湾の地位に関し、日本政府は従来、言及を避けてきた。斎藤氏はこれを「未確定」と述べたことで謝罪したが、馬総統が4月末に「台湾の主権は、52年締結の日華条約で中華民国(台湾)に返還された」との主張を発表した直後だっただけに、台湾側が深刻に受け止めた。

 馬総統は就任後、対日重視を掲げ、今年を日台特別パートナーシップ促進年に指定。だが、斎藤発言をめぐり、関係が逆に冷却化している。

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