「政治家総とっかえ!」。ご記憶だろうか。93年7月の衆院選で、日本新党が掲げた標語だ。宮沢内閣不信任決議案可決を受けた選挙。自民党は過半数割れし、政権から離れた▼この時、定数5の旧兵庫2区で衆院初当選した日本新党・小池百合子氏を担当した。事務所には「先生と呼んだら500円」の張り紙。楽勝ムードの中「名前の連呼はやめ、鳥の声を」という主張に頭を抱える陣営幹部。最終日、駅で待っていると選挙カーから「ピヨピヨ……」▼あれから16年。小池氏は自民党総裁選に出馬するまでに上り詰めたが、国民の「総とっかえ」気分は高まるばかり。「心地よい言葉にもうだまされない」と。【熊谷仁志】
毎日新聞 2009年7月7日 地方版