コミックエンゼルズ
さとうふみや
美村あきの
なんばらばん
大石望
幸福の科学出版/2001年/650円+税
大手の書店ならどこでも、幸福の科学の出版物のコーナーがある。これはそこに並んでいた宣伝用コミックス。
表紙(左)を見て驚いた。どこかで見たことのある絵だ。そう、巻頭のマンガを『金田一少年の事件簿』『探偵学園Q』のさとうふみやが描いているのである。
いや、さとうふみやが幸福の科学信者だってことは以前から有名だったけど、本当に宣伝マンガ描くとは思わなかった。ゆでたまごの描いた公明党の宣伝マンガ以来の快挙(?)かも。
タイトルは「降魔法輪」。
主人公の正堂法輪は14歳の中学生。幼い頃の臨死体験がきっかけで額に法輪のマークが浮かび上がり、霊を見たり、悪霊を祓う能力が身についた……という設定。
この主人公、金田一少年を面長にしたような顔で、このように読者に向けて手の平を突き出した決めポーズも金田一少年そっくり。クラスメイトに幼なじみの女の子がいたり、普段はぼさーっとしててお調子者だけど、事件が起きるとシリアスな顔になる……といったところも金田一少年を思わせる。
クライマックス。生徒に取り憑いて自殺させようとしていた悪霊の正体を見破った法輪は、胸に提げた幸福の科学のペンダントをおもむろに取り出し、手を合わせて呪文(?)を唱える。
「信仰の光がこの世の悪を打ち砕く――!
エル・カンターレ ファイト!」
(ドーンと爆発する悪霊)
わはははは!
いやー、家で床に座って読んでいて、このシーンで思わず床に突っ伏して笑い転げましたよ。
エル・カンターレ ファイト!
もうこのコマだけで、650円(+税)の元は取れた!(笑)
その他にも、主人公が「人間の本質は心、魂だ。お前が今思った事、考えた事そのものがお前自身なんだよ!」 などと説教を垂れるシーンがあるんだけど、お前に言われたくねーな、という気がする。
聞くところによると、この「エル・カンターレ ファイト」、幸福の科学の本に出てくる正式な呪文で、正しくは
「ライト」
「クロス」
「ライト」
「クロス」
「エル」
「カン」
「ターレ」
「ファイト」
というのだそうだ。てっきり「ゾーン・ファイト!」みたいなものかと思ってた(笑)。
それにしても、見れば見るほど安直な。最近、アニメやマンガでももうちょっとそれらしい呪文使ってるんだが。せめてラテン語とかヘブライ語とか中国語とかヒンドゥー語とか使えば、少しは賢そうに見えるだろうに……なぜ英語?
しかし、どうしてこの人、幸福の科学の宿敵である講談社でマンガ描いてるんだろう? それが最大の謎だったりして。