社会部の佐々木雅彦記者(43)は一線記者のまとめ役の遊軍長だった1月、骨肉腫と診断され、闘病生活に入った。骨肉腫は骨の内部にできる悪性腫瘍。10~20代が多く、全国で年間200人程度が発症する。増殖の進行は速く転移しやすいという。骨のがんと向き合う日々を、佐々木記者自らが報告する。
入院から半年たった。左太ももの骨肉腫と診断され、大阪市中央区の国立病院機構大阪医療センターに入院したのは、まだ松の内の1月13日。半月後の手術で、左大たい骨の病巣部を取り除き、チタン製の人工骨兼人工関節を入れた。
翌月から、リハビリと並行し、転移を防ぐための化学療法が始まった。3週間ごとに別の抗がん剤を投与する。毎回、副作用が現れ、3週目半ばに回復する。この繰り返しだ。吐き気、集中力の欠如。白血球数が正常値の10分の1以下になって抵抗力も落ちる。
副作用が何度も心体をかき乱しに来るうちに、つらさに逆らわず、通り過ぎるのを待つのみ、と思うようになった。
頭髪も副作用で抜けたが、強そうな武道家に見えないこともない。私は大学まで柔道をやっていた。鍛錬のおかげか、「大たい骨が頑丈だったため、大きめの人工骨を取り付けることができた」と医師に聞かされた。
退院予定は9月。早く復帰したいと焦燥感が募る。だが、自分自身をじっくり見つめるいい機会だと受け止め、記録を書き記す。<社会部・佐々木雅彦(43)>
毎日新聞 2009年7月7日 地方版