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父親刺殺:容疑の次男がネットに殺害予告 千葉県大多喜町

 千葉県大多喜町下大多喜、大工、近藤佳利さん(52)が6日未明、自宅で刺殺される事件があり、県警勝浦署は無職の次男貴之容疑者(20)を殺人未遂の疑いで現行犯逮捕、近藤さんが間もなく死亡したため容疑を殺人に切り替えて捜査している。インターネットの掲示板には、事件の数分前に書き込まれたとみられる「犯行予告」があり、同署は貴之容疑者が書き込んだとみて、詳しい動機などを調べている。

 逮捕容疑は、貴之容疑者が6日午前2時すぎ、自宅1階の和室で、近藤さんの背中を包丁で刺したとしている。同署によると、近藤さんは左腰に包丁が刺さっており、貴之容疑者は興奮した状態だったという。近藤さん方は貴之容疑者と父母の4人暮らし。

 一方、インターネットの掲示板「2ちゃんねる」には、6日午前2時6分に「今から父親、祖母、祖父を殺します」という12行の書き込みがあり、貴之容疑者のフルネームと年齢、自宅の住所が書かれていた。

 さらに、4日午後7時すぎから同9時ごろまでの間、約10回にわたり、同じサイト内の別の掲示板に「たかゆき20歳」という名前で引きこもりの悩みを打ち明ける書き込みもあった。冒頭に「つらい、死にたい」を10回繰り返し、「引きこもり生活4年目になります。毎日がただ寂しい。家族の暖かみを知りたい」と記載。「母親には4年も会っていない。母親に会いたい。父親は嫌いだ」などと書かれている。

 ◇中学卒業以降は引きこもりがち 逮捕の次男

 県警勝浦署によると、祖父母は近藤貴之容疑者について「引きこもりがちだった」と話し、町立大多喜中を卒業してから自宅に引きこもっていたとみられる。同校の長谷川伸二教頭は「素直でおとなしい子だった。2年から休みがちで、3年は登校日数の半分の100日程度しか来なかった。調理師の専門学校へ進んだと聞いているが、通っていたかどうかは分からない」と話す。近くの人は、付き合いはほとんどなかったと口をそろえる。

 ネット問題に詳しいジャーナリストの藤代裕之さんは「家庭内で予告と犯行が完結しており、無差別に人を狙うようなここ数年のネット予告とは種類が違う。ネットの常連ではないようだ」と分析。「問題は、悩みをぶつける先がネットの掲示板しかなかったのかということだ。友人や学校、地域などのセーフティーネットが壊れ、弱者に何の支援もない今の社会を象徴している」と指摘する。

 また、家族の問題に詳しい新潟青陵大の碓井真史教授(福祉心理学)は「書き込みは20歳にしては幼く、思春期で時間が止まったという印象だ。状況を打開したいという気持ちを持っていたが、親の支援を得られず、社会で自活する力もなく、八方ふさがりだったようだ。中学卒業後、何らかの途切れない支援があれば結果は違ったのではないか」とみる。

毎日新聞 2009年7月6日 22時09分

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