2009年7月7日7時55分
大勢の報道陣が取り囲む中、高見容疑者を乗せて此花署に入る車=7日午前0時2分、大阪市此花区、小林裕幸撮影
23人が死傷した大阪市此花区のパチンコ店放火殺人事件で大阪府警に逮捕された高見素直(すなお)容疑者(41)は、取り調べに対して「誰でもいいから人を殺したいと思った」と話したという。同じマンションの住民らから、物静かな印象を持たれていた高見容疑者。「仕事も金もなく、人生に嫌気が差した」。供述からは、自暴自棄な様子もうかがわれる。
6日正午すぎ、高見容疑者は1人で山口県警岩国署にふらりと現れ、「パチンコ屋に火をつけたのは自分だ」という趣旨のことを打ち明け、「誰でもいいので殺したかった」と話したという。
捜査幹部は「最初は報道で知り得る程度の話をしていたので、うそかと思ったが、一つ、二つ、報道に出ていないことを言っていたので本当だと思った」と話す。落ち着いた様子で、捜査員の質問に対しては理路整然と答えていたという。
高見容疑者は事件があった5日のうちに岡山市へ移動して1泊。6日午前、山口県岩国市へ着いていた。
6日午後6時前、大阪府警の捜査員が岩国署に到着して約3時間後に逮捕した。
高見容疑者は府警の捜査員に連れられ、JR新岩国駅から「こだま」に乗車、広島駅で午後10時16分発の「のぞみ」に乗り換えた。広島駅では、両腕を捜査員に抱えられ首まで黒い布で覆われていた。「のぞみ」の車内では多目的室に入り、鍵をかけて閉じこもったままだった。
新大阪駅の到着ホームには50人を超す報道陣が集まった。11時39分ごろ到着した高見容疑者は、ジャンパーを頭からすっぽりかぶり、両脇を捜査員に抱えられてよろめきながらホームを歩き、駅を出て警察の用意した車両に乗せられた。
7日午前0時すぎ、高見容疑者を乗せた車は此花署に着いた。署の周辺には報道陣や近所の住民が約200人集まり、住民らから「絶対に許さない」と怒りの声も飛んだ。