この章は、実際に児童買春等で逮捕された方の証言を元に書いていますので、現実に即した話になっています。参考にしてください。

逮捕されたら

行為〜逮捕まで
 早い人は行為の最中に職務質問を受け現行犯逮捕(車中等の屋外の場合)。遅い人は行為の日から1年半以上経過してから逮捕されています。逮捕される時は、殆どが逮捕状を持って朝方自宅に来るか、昼間に職場に来ます。その際、パソコンや携帯電話は証拠物件として押収されます(後日返してもらえます)。いずれにせよ、ご家族や同僚など、周囲には知られると思って下さい。

逮捕〜48時間
 逮捕されて最も怖いのは罰則より「報道」です。報道=社会的制裁です。職場を失い、家庭も失い、また1から人生をやり直さねばなりません。しかも、前科者としてのハンデを負ってのスタートですので、1からと言うより、マイナスからのスタートです。20代などの若い方は未来が有ります。しかし、40代50代と社会的に円熟期に入った方が再度やり直すのは苦労が伴うのではないでしょうか。

 逮捕されると、警察で指紋・写真を取られた後、取調べを受け、逮捕より48時間以内に、地検(区検)に身柄を送検されます。そこでは、検事による調べが行われ、再度調書を取られます。と言っても、警察のそれよりは簡単で、主に事実確認です。調べは簡単(この程度の罪なら30分程度)なのですが、自分の調べまでの待ち時間が辛い。

 東京地検の場合ですが、朝から夕方まで両手錠、昼飯もその状態で食べます。また、待っている間は10人程度の小部屋ですが、私語厳禁。硬い木製の椅子の上でジッとしてなければなりません。ケツが痛いです。ひょっとしたら、ここが一番の苦痛かも知れません。


拘留延長
 送検の翌日、同じく護送車に乗って裁判所まで行きます。ここでは、判事から拘留延長が言い渡されます。拘留延長の場合、更に10日間の拘留が決定します。最大で20日間延長できますので、長い人は23日間も拘留されてしまいます。こういう状態になったら、起訴されるのは覚悟して下さい。稀に不起訴や起訴猶予も有るらしいですが、1%にも満たないと思われますので、冤罪でもない限り、そこに期待するのは愚かというものです。警察(刑事)は、起訴できないと予想される案件で動く事は殆ど有りません。起訴できると判断するから逮捕するわけです。


取り調べ〜起訴
 拘留延長され、これから本格的な取調べが始まります。よく刑事ドラマで見られるアレです。色々と事実関係等を聞かれ、その回答から刑事が調書を書いていきます。流れ作業みたいなものなので、素直にしてれば、特に苦痛と言うことも無いと思います。タバコも吸えますし、刑事がイイ人だったら、お菓子やジュース、コーヒー等を飲食できる場合も有ります。
 ここまで来て往生際を悪くしてると、取調べがキツくなり、心象も悪くなるので、良い結果を生む事は無いと思います。諦めて、素直に調べに応じましょう。

 その後、拘留期間内に起訴され、後日、更に公判(裁判)の日時が決定いたします。公判は、逮捕から大体2〜3ヶ月で行なわれますが、それまでの間は拘置所で過ごして待つ事になります(東京なら小菅にある東京拘置所)。起訴後、お金の有る方は保釈金を預けて保釈申請する事も可能です(申請が通るかどうかは別問題です)。保釈されても、拘置所で待つかシャバで待つかの違いだけで、裁判を受けることに変わりは有りません。ちなみに、公判は地裁で行なわれ、誰でも見学できますので、興味の有る方は見学に行くのも面白いかもしれません。なお、日本の裁判は、原則公開裁判ですので、誰でも自由に傍聴できます。裏を返せば、自分が容疑者になった場合、誰に傍聴されてもおかしくないと言う事です。

「阿蘇山大噴火」という芸人さんが、日刊スポーツ紙上で自身が傍聴した裁判についてコラムを書いています。
阿曽山大噴火の「裁判Showに行こう」

 場合によっては、10日ないし20日間の拘留延長の後、公判請求されず(裁判に進まず)に略式命令で50万円程度の罰金刑というケースもございますが、被害者が単独で、かつあなたが初犯、更に心象が良い等、様々な条件をクリアした一部だけです。これも起訴されて罰金刑という扱いですので、もちろん前科になります。


公判〜判決
 よほどの常習犯や、否認を繰り返すような悪質な被疑者じゃない限り、1回の公判で求刑まで進むと思われます。現在は一度の公判で判決まで進むケースも有ります。時間にしたら1時間程度でしょうか。その裁判の最後に、判事から判決の日時が言い渡されます。その判決の日に判決が下り、その瞬間、あなたの刑が決定されます。判決に不服が有る場合、二週間以内に控訴も可能です。控訴しないまま二週間を経過した時点で判決が確定します。

 さあ、貴方の量刑はどれ位だったでしょうか?まあ、執行猶予が付けばラッキーで、懲役刑を覚悟しておくのが良いでしょう。いずれにせよ、これで貴方も立派な前科者として社会から疎んじられる存在に成り下がります。ちなみに前科とは、罰金刑以上の刑罰を受けた場合につきます。刑事事件で懲役刑以上(執行猶予も含む)の有罪となった場合、お持ちの公的資格(医師、税理士、公認会計士等の国家資格等)の殆どは取り消されるか有期の資格停止処分、また、新たに取得することも困難です(車の運転免許は大丈夫です)。例え理不尽であっても、社会から見れば犯罪者なんてそんな扱いです。もちろん、それまでに報道されたり、会社を解雇されたりと、社会的制裁も充分に受けることでしょう。通常、懲戒解雇(懲戒免職)の場合、退職金は出ません。既婚者なら、奥さんや子供にも見放されるでしょう。人間、誰でも間違いはあるものです。懲役を終えたら、心を入れ替えて、また1から人生を作り直してください。しかし、30代40代を過ぎてから、新たに人生を作り直す気力が起きますか?


<余談:費用について>
 刑事裁判を受けると、それなりに費用がかかります。大まかに書くと下記の通りです。

  • 裁判費用 10万円程度
  • 私選弁護士費用 着手金30−100万程度+報酬(着手金と同額程度)
  • その他の費用(被害回復等) 50万以上

     合計で、ざっと軽く100万以上はかかる計算です。もちろん、出費を抑えられる所は抑えられますけど、費用をケチると判決も厳しくなると思います。まさに地獄の沙汰も金次第ですね。弁護士を無料の国選にして、被害回復や贖罪寄付をしないのであれば、負担は裁判費用の10万程度で収まりますが、何の手も打たないわけですから、考えられる中で最悪の判決が下るでしょう。

     金銭的負担もさることながら、それまでに受ける社会的制裁も考慮し、そこまでのリスクを背負ってまで未成年と遊びたいですか?守る物が有るのなら、絶対にやめた方がいいですよ。リスクを減らしたい方は、当HPの13章をご覧になった上で、メールをください。ただし、最低条件として、反省し、二度と同じ過ちを犯さないという約束できる方に限ります。やってしまった事は取り返しがつきませんが、その上で多少でもリスクを軽減する事は可能かも知れません。ケースバイケースですけど。


    <参考>
     実刑判決が出た場合ですが、まあ、執行猶予が付けば、その日でシャバに出れます。しかし、執行猶予が付かなかった場合、控訴しなければ刑が確定し、刑務所に服役する事となります。私も刑務所に入った事は有りませんので、その詳細はわかりません。服役経験者から話を聞いた事はございますが、あまり楽しそうには感じませんでしたね。
     数年間に発売された漫画?で、刑務所内の生活の様子を描いた物が有りますので紹介させて頂きます。時間とお金に余裕の有る方は、興味本位で読まれても面白いと思いますよ。映画化だったかDVD化だったかされましたので、知っている方も多いかと思いますが…。

    「刑務所の中」
    花輪和一・著
    青林工藝舎
    ISBN 4-88379-065-7

  • TEXT/大魔王

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