「ノア」(5日、ディファ有明)
試合中の事故で急逝した三沢光晴さん(享年46)の「お別れ会」から一夜明けた5日、都内のディファ有明で「選手会興行」が行われた。大会の陣頭指揮を執った選手会長・森嶋猛(30)は、齋藤彰俊(年齢非公表)を“因縁”のバックドロップ(岩石落とし)で撃破。また、GHCヘビー級王者・潮崎豪(27)が同ジュニアヘビー級王者・KENTA(28)と次代を担うエース対決でぶつかり、勝利した。立ち見席も完売した超満員のファンの中、ノアは新たな一歩を踏み出した。
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“因縁の技”で契りを交わした。選手会長の森嶋が急角度の岩石落とし連発で齋藤を撃破。リング上で「齋藤さん、これからも一緒に頑張りましょう」と呼びかけた。前日の「お別れ会」で2万6000人が集結したディファ有明。この日も超満員札止めの会場で、ファンは魂を込めた大技に盛大な拍手で応えた。
森嶋は「何のわだかまりもない。オレはプロとしてノアを盛り上げる。齋藤さんにはいろいろな力がある」と続けた。6・13広島大会で岩石落としを放ち、三沢さんのリング禍を招いてしまった齋藤も「変な意味ではなく、魂のこもったバックドロップを受けました。勝負してくれて感謝している」と前を向いた。
森嶋がプロデュースした大会。一騎打ちの6試合が興行の目玉だ。日本武道館級の試合が組まれる可能性があり、実際に潮崎-KENTA戦が実現した。森嶋は、三沢さんから「お前のやりたいようにやれ」と快く背中を押されたことへの感謝を試合で体現した。
2年ぶり7回目の選手会興行は大成功に終わった。前売りは完売。当日発売の立ち見券を買いそびれたファンのために、ノア旗揚げシリーズ以来となるパブリック・ビューイングを会場の近くで開催したほどだった。
全試合終了後、森嶋が「次のシリーズも選手一丸で頑張っていきます」とリングで誓うと、三沢さんの映像と入場テーマ曲「スパルタンX」が流れ、会場のスクリーンには「三沢さんがつくったノアの戦いを選手一同受け継いでいきます」とメッセージが流れた。新体制はまだ決まっていないが、既に若手選手たちがノアをけん引している。