2009都議選
都議選が3日告示され、届け出を済ませた候補者は10日間の激戦に突入した
【政治】自民 窮地の都議選 静岡県知事選で川勝氏勝利2009年7月6日 07時06分 衆院選に向けた2つの「関門」として注目されていた5日の静岡県知事選と12日の東京都議選。第1ラウンドの静岡では民主党らが推す候補が勝った。都議選に向けた本紙世論調査でも、都民は自民党より民主党を支持する傾向が明確に。麻生自民党は今後、極めて厳しい政局判断を迫られることになった。そして民主党の出方は…。(衆院選取材班) ■剣が峰 河村建夫官房長官は静岡県知事選敗北を受け五日夜、「結果は残念だが、初めから地方選挙の一つと受け止めている。国政とは一線を画している」と記者団に語った。 政府・与党は河村氏と同様に、今回の敗北を国政と切り離して受け止めようとしている。だが、自民党は静岡県知事選を「国政選挙並み」の重要選挙と位置づけて取り組んでいただけに、ダメージは大きい。 これにより都議選結果が、首相の進退も含めて政局を左右する可能性が一段と高まった。公明党幹部も五日、「静岡で負けて都議選でも負け、首相がそれでも解散しようとしたら、みんなが羽交い締めになって止めるだろう」との見通しを示す。与党は剣が峰に立たされた。 本紙の世論調査でも、自民党への厳しい視線があらためて裏付けられた。 都議選投票先では、自民党は依然、民主党に大きくリードを許している。次期衆院選の比例代表でも「自民党に投票するつもり」と答えた人は19・1%で好転はみられず、六月の前回調査と比べて民主党との差もほとんど縮まっていない。 「次の首相」でも、麻生太郎首相がふさわしいと答えたのは16・5%で、民主党の鳩山由紀夫代表との差は逆に広がった。 自民党幹部は鳩山氏に政治資金収支報告書の虚偽記載問題が浮上した点を指摘。「東京ではこの問題が効いてくる」と、なお望みを託すが、現段階では思惑通りになってない。 自民党の都選出国会議員は調査結果に「厳しい状況は何も変わっていない」と、自民、公明両党で過半数(六十四議席)を維持する最低ラインにも危機感を強めている。 ■懸念の芽 静岡県知事選の結果を受け、民主党の岡田克也幹事長は「この勝利を都議選に引き継ぐ。衆院選で政権交代を成し遂げるため、全力でまい進する」との談話を発表した。 岡田氏が指摘するように、静岡で与党推薦候補に競り勝った勢いが東京にも引き継がれる可能性は大きい。都民を対象にした本紙の調査結果をみても明らかだ。 党都連会長の菅直人代表代行は本紙の取材に、「民主党への期待感の高さを感じる。街頭で感じる手応えが、数字で裏付けられた印象だ」と述べた。 同党としては、都議会の第一党を奪取し、政権交代実現がかかった次期衆院選になだれ込みたい考え。鳩山氏は五日、東京都大田区での街頭演説で「東京都政の戦いは、まさに日本の縮図だ」と訴えた。 ただ、民主党も順風満帆ではない。前回調査と比べ「比例代表投票先」「次の首相」とも伸び悩んだ。そして共同通信の全国世論調査では、党の支持率は10ポイント以上減った。 その原因として考えられるのは、鳩山氏の虚偽記載問題だ。共同通信社の世論調査では、約八割が鳩山氏の説明に「納得できなかった」と回答。「鳩山氏の説明で納得した」(岡田氏)と幕引きを図る党内の雰囲気と、世論とのずれが生じている。 このため、菅氏も「東京は浮動層が多いので、党勢が戻ったという感覚にはなれない。まだ最後まで何が起きるか分からない」と引き締めに懸命だ。 (東京新聞)
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