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「タミフル耐性」論文を優先 大阪府、2週間公表せず(1/2ページ)

2009年7月5日3時0分

 大阪府在住の新型豚インフルエンザ患者から治療薬タミフルが効かない耐性ウイルスが見つかった問題で、大阪府立公衆衛生研究所が発見から2週間公表せずに、米医学誌への論文投稿を優先させていたことが分かった。論文投稿から8日後に厚生労働省から促されて初めて公表していた。世界保健機関(WHO)は、耐性ウイルスが見つかった時点で速やかに公表、報告するよう求めており、専門家からも批判の声が出ている。

 府立公衆衛生研究所は、5月29日にタミフルの予防投与を受けていた大阪府内の女性が発症したことで、タミフル耐性を疑った。ウイルスの遺伝子を調べ、6月18日にタミフル耐性を示す遺伝子変異が確認された。しかし、7月2日深夜に記者会見するまで公表していなかった。

 府によると、同研究所が1日、国立感染症研究所の関係者に伝えたことで、厚労省から早く公表するよう促されたという。

 府は2日深夜の会見で、公表しなかった理由について、本当に耐性ウイルスか細胞を使った実験で確定できるまで待っていたため、と説明していた。しかし、府立公衆衛生研究所の職員3人は6月24日に、タミフル耐性の遺伝子変異が確認されたと、米医学誌「エマージング・インフェクシャス・ディジージズ」に論文投稿していた。論文がいつ発行、公表されるかは4日現在、まだ決まっていないという。

 論文投稿を優先したことについて、府立公衆衛生研究所の高橋和郎副所長は「一般向けには不確かな段階で公表すれば不安をあおると思い公表を控えていたが、専門家なら理解できると思った。功名心で急いで投稿したわけではない。今後の反省点にしたい」という。

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