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所長
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Military Analyst

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日本や世界で現在進行形の最新の軍事情報を選別して、誰にでもわかるような文章で解説します。ホットな事件や紛争の背景や、将来の展開を予測したり、その問題の重要性を指摘します。J-rcomでは、日本で最も熱い軍事情報の発信基地にしたいと頑張ります。(1999年11月)

2009.06.28

ソマリア暫定政府が要請 米、武器資金を提供 1千万ドル(約10億円)に満たない額

カテゴリオバマ政権出典 朝日新聞 6月28日 朝刊 
記事の概要
米国務省高官は26日、無政府状態下で武力衝突が続くソマリアに、暫定政府の要請で武器や弾薬の購入資金を提供したことを明らかにした。

ソマリアでは5月以降から、アフメド大統領率いる暫定政府と、反政府のイスラム武装勢力「シャバブ」との戦闘が激化。

米政府は暫定政府と平和維持部隊として駐留するウガンダ軍に小火器や弾薬の購入費として「1千万ドルに満たない額」を提供した。暫定政府はこの資金で40万トン相当の武器を調達したという。

同高官はウガンダ軍の目撃情報として、最大200人の外国人がイスラム武装勢力に合流したとの見方を示した。この一部はアフガンから拠点を移した「アルカイダ」など国際テロ組織のメンバーとみられる。
コメント
アフリカ系アメリカ人(黒人)で米特殊部隊出身者やCIA要員をソマリア暫定政府軍の軍事アドバイザーで送り込み、対戦車ミサイル2基を搭載した無人攻撃機プレデターを使って、反政府武装組織「シャバブ」の拠点やリーダーを攻撃する。

あるいは対空レーダーや対空ミサイル(携帯式)を持たない「シャバブ」に対して、ペルシャ湾などの米空母から飛び立った攻撃機が精密誘導爆弾を投下する。その空爆を地上の米国人軍事アドバイザーが誘導する。

あるいは米軍の無人偵察機が高々度から荒野に潜む「シャバブ」の存在を探知して攻撃する。

そんなアメリカの秘密戦争がソマリアで遂行されている可能性がある。米軍が使う精密誘導爆弾も高度数千メートル上空から投下すれば、空母艦載機の爆音は地上に届くことはない。しかし爆弾はピンポイントで命中する。

このようにして「シャバブ」の軍事拠点を壊滅させた後、暫定政府軍やウガンダ軍が進駐して掃討し、支配地域を拡大する。今、ソマリアで戦われている戦争とはそのようなタイプの戦闘である。

間違っても、暫定政府軍やウガンダ軍が「シャバブ」勢力と真正面で戦うことはない。そんな馬鹿バカしい戦術など何の得にもならない。

だから暫定政府軍とウガンダ軍は1千万ドルに満たない資金供与でも戦えることになる。

これは同時に、アメリカがアフリカの戦争に介入し始めたことを意味している。そのソマリア作戦は新設されたばかりの米軍のアフリカ軍(軍団・しかし今は司令部のみ)が担っている。
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