京都地裁。Winny開発者が被告人となった、著作権法違反幇助に係る事件。第11回公判に傍聴に行ってきました。傍聴券交付は先着順です。とはいえ、本日は、いつもよりも座席に余裕あり。
■傍聴前について
- 12:30ごろ いつもどおりに到着。待ち時間に読むものも持参してますので、座って黙々と読みながら、時間まで待つことに。
- 13:10ごろ 裁判所の職員さんから、恒例の注意事項説明などなど。
- 13:20〜 入廷開始。マイバックを預け、身体検査(ポケットにモノが入ってないかどうか程度)後に、この間、【情トラ】が裁判官席に座らせてもらった101号法廷に。
◆市民裁判員先行記第24回/もうすぐスタート!! 裁判員制度@京都地裁 - 【情トラ】附゛録゛
■公判内容については、あくまで【情トラ】の個人的なメモをまとめたものです。全てを再現できているわけでは勿論ありません(※基本的に、語尾表現を簡潔にするなど、【情トラ】の手による編集等が入っています。)。また、実際の内容に【情トラ】が理解したものを付け加えてしまっているトコロもあります。さらに、私の理解不足や事実誤認などもあるかもしれません、いや、必ずあるはずです。ご注意を!
なお、これまでの【情トラ】まとめ(概要ですけど。)は、次のURLへと。
◆【おっかけ情トラ】市民裁判員先行記 - 【情トラ】附゛録゛
■はじめは、検察側からの証拠調べ請求について。甲220号証から227号証までを請求するとのこと。これに対して弁護側は「いずれも不同意」との回答。
■そして、裁判長から「それでは証人の方を。」として、本日の証人の方が呼ばれました。最初の人定質問では、裁判長が、あらかじめ提出された用紙に記載のとおりで間違いないことを確認。
■ここで、弁護側から、本日の証人が取材に応えた記事が掲載された「2004年6月1日朝日新聞の記事の写し」を証拠として提出することを請求。これに対して検察側からは、本日は、その内容を確認して検討する時間もないので、(同意、不同意は)留保という旨の回答。
◆証人に対する検察側からの主尋問
- (検察官(特に注記がなければ、以下同じ))じゃ、質問をかえる。パソコン関係について載っていたか
- Tipsページは、WinnyWebSiteとリンクされていたか
- そこにWinnyをつくった人の名前または通称は書かれていたか
- ヴァージョンアップで、どんな機能に変更があったかどのようにして知ったか
※このあとで、検察官の証人に対する質問に、弁護側から異議がとなえられたが、その内容についてはメモから脱落してます。
※ここで、弁護側から、検察官が証人に近づきすぎており(圧力を感じかねないとして)、必要がないなら下がってくれと要求あり⇒検察官は自席のほうにさがる
- ところで、WinnyWebSiteに「違法な著作物のやりとりは、しないでください」と書いていたのは知っていたか
◆検察側からの主尋問は、ここまで。
※ここで、弁護側から、いったん休憩するかとの提案。裁判長からは、とりあえずそのまま続けるとの回答。
◆証人に対する弁護側からの反対尋問
- (※検察側から)異議あり。逮捕の経緯を訊くのは、主尋問の範囲外である
- (※弁護側から)逮捕の信用性を問うものである
- (※裁判長から)(捜査に関する主尋問であったので)捜査からはじめてください
- (※弁護側から)捜査状況について、主尋問を請求します
- (※検察側から)異議あり。被告人の罪責には何ら関係がない
- (※弁護側から)(証人の)逮捕の経緯のみではない。一定の逮捕の状況を訊きたい
- (※裁判長から)主尋問の請求を認めません
- (弁護人(特に注記がなければ、以下同じ))Winnyにのりかえたときに、違法な行為という認識は
- その後、家で使うようになったが、使い方はどうやって知ったのか
- スレッドを有名にするには、どんな方法をとるのがてっとりばやいのか
- もっと、という思いはあったか
- あれで満足でした。パート2、パート3と、スレッドがひとつでは終わらなかったところで満足だった
※ここで、弁護人から証人に対する取調べ調書に関する質問に、検察側から異議がとなえられたが、その内容についてはメモから脱落してます。
- その結果、ファイルが増えていくのが嬉しかったからか
- データを流すことについては、ネットに貢献したいとの気持ちがあったか
- 12月12日に一度だけ違う警察官が取調べをしたが、何という人か
- Tさんには訊きたいことがあって来たと聞かされなかったか
- そのTさんの取調べのとき、あなたは次のように言っている。「Winnyがなかったら、お金を払わず、欲しいソフトを簡単に手に入れる喜びはなかったと思います」。覚えはあるか。
- 調書では必ずしもそうはなっていないが
- (※検察側から)主尋問の弾劾の範囲をこえていて、何をしたいのかさっぱりわかりません
- (※裁判長から)Tさんの印象はありますか
- (弁護人(特に注記がなければ、以下同じ))起訴後にOさんが来たか
- (証人(特に注記がなければ、以下同じ))元気にしてるかと
- 平成16年1月30日であるが、どんなことを取調べされたのか
- 詳しくは覚えていない。それまでとほとんどかわりない
- 書き込みには、ない。
- TipsページやWinnyWebSite、雑誌に書かれていたことがまぜこぜになっていた
- 語録を詳しく読み込んだわけではない
- 調書のなかでは、起訴後に来たときのものに初めて「匿名性が高いから」との言葉がある
- ここより以前にはない。なぜか。それまではWinMXの使い勝手が悪いとあったのに、突然「匿名性が高いので」とある
- 平成16年3月4日、判決の1日前に検察官の取調べがあり、そこで読んだか
- ザーッとしか読んでいない。意味がわからないから、字面しかわからない
- この文章を読んで、「著作権違反を蔓延させようとした」と感じたと言っているが
- 甲43号証を示す(WinnyWebSiteの写し)。このなかで47氏が著作権違反を蔓延させ、社会構造を変えたいといっているのは、どこか
- 正直、僕から言ったんじゃなくて、検事さんから出た言葉に同意したんです
- Oさんの取調べの際には、あなたは「僕をはじめとした著作権法違反の常習者にとって、Winnyは待ち望んだソフトです」といっている。でも、そもそも使い始めは、ダウンロードしかしておらず、ダウンロードは違法ではないと知っていたはず。なぜ、そのようなことを言ったのか
- なんででしょう
- ダウンロードが違法かもしれないと思っていたのかも
- 平成16年3月4日に取調べを受けたとき、なぜ、そのときに取調べがあるのかについてきいたか
- 時間がなかったから、訊きたかったことがきけなかった、ごめん、ときいた
- 起訴前に、検事さんからは2回取調べを受けているが、そのときに、また調べるとはきいていたか
- 12月の調書には、「自分でできることだから」、「収集癖があったから」、「優越感を感じたかったから」、「自己顕示欲から」といった記述がある。ところが、3月4日の調書ではなんとされているか
- 「ダウンロードの枠を増やしたい」とのWinnyの「特性だけ」が書かれている
- (※検察側から)異議あり。誤導です。それ「だけ」という記載がどこにあるのですか
- (※裁判長から)裁判所には、調書の内容がわからないので
- (※弁護側から)調べます
- 検事さんの聞き方は、「理由の一番は何か」というものか、「理由の一番は、これこれだよね」というものか
- そこで幇助された意識はないと言っているが、読んだことはあるか
- 「違法なことをしたのは僕で、彼は優秀な開発者である。幇助されたという意識はない」と言っているが
※ここで、弁護側から、いったん休憩するかとの提案。裁判長から、15時30分から再開するとの回答で、一時休憩。
◆(15分間ほどの休憩後)証人に対する弁護側からの反対尋問が再開
- (弁護人(特に注記がなければ、以下同じ))今日、証人として呼ばれるにあたって検察官、警察官と打ち合わせはしなかったのか
- (証人(特に注記がなければ、以下同じ))警察官はない
- 取調べの際に、「はい」か、「いいえ」で答えていたのか、それとも自分から答えていたのか。Oさんのときはどうか
※ここから3つの尋問は、ほとんど覚えていないので、特に正確性を欠いています(もちろん、ここ以外も正確性は確実ではないものとして、考えていただきますようお願いします。)。
- 判決前日の取調べで、Winnyの開発目的はどういうことだと思うかについて、何と答えたか
※ここまで
- 「READ ME」テキストや、WinnyWebSiteは
- 自分なりに。(開発目的などについては(?))どちらかというと人の意見です
- 匿名と暗号について、被告人は使い分けをしているが、それはわかっていたか
- 他のパソコンを経由することは確率的には少ないことであるが、知っていたか
- Winnyの使い方は、最初どのへんがわからなかったのか
- Tipsページでわかったのか
- そのときにみたサイトが、Tipsページかどうかは定かでない
- B-GEEKSは、大々的にWinnyをとり上げていたのか
- もし著作権法違反があれば、とめる機能があったのは
- あの機能は個人が決めるのではなく、大衆が決めるもの。あったとしても働かない
- データを放流する方法として、告知することは、教えてもらったのか、自分で考えたのか
- BBSをたてることで、警察に捕まるとは考えていなかったか
- わかっていたのに、どうして立てたのか
- 考えなかった。知識としてはあったが、思いつかなかった。逮捕されないから(と思って)放流した
- 取調べの際に、自分からは、はい、いいえと答えるだけか。難しい言葉が使われているが
- 1月30日の調書には、何回も「蔓延」とでてきている
- 47氏語録で印象に残っているものは
- 取調べのとき、47氏の考え方はこういうものだと、あなたから説明したことはあるのか
- 自分からは、たぶん言っていない。語録をみせてもらって指差した
- 甲43号証末尾添付の資料1を示します(47氏語録の写しを証人に渡して確認してもらう)
- (甲43号証資料2(「Winnyの将来展望について」の写し)を示して)取調べと同じもの
- 1月30日、3月4日の取調調書では、スラスラと説明できたということですか
- そのとき、警察官や検察官から、こういうことだと言われてのものではないか
- 平成15年12月12日付調書
- (※検察側から)何号証ですか
- (※裁判長から)甲45号証ですね
- (※弁護側から)45号証です
- Tさんの調書に、あなたの署名がありますね
- 「違法を助長するソフト」とあるが、あなたが言ったのか
- 平成16年1月30日付調書、甲46号証
- 「蔓延」という言葉が、5ページ目、6ページ目、、9ページ目、、10ページ目にある
- ここのサイトに行けばよいとの告知を、スレッドにすることはしなかったのか
- なぜか
- 人に聞いた話ですけど、いろんな人がアクセスして、サイトが無くなってしまうから
- 具体的には
- (※裁判長から)あなたは現在の心境と言ったが、当時はどう思っていたのですか
- (裁判長)それには根拠があると思うが
- (証人)それまで訊かれたことがなかったから。違法なものとは(?)、答えられなかった。否定できなかった
- (裁判長)捕まった当時のことについて
- (証人)自分が捕まってしまったという結果が出たから
- (※裁判長から)この他には、ないですか。では、証人は結構ですよ
◆本日の証人尋問は終了。
- (※裁判長から)甲43号(?)添付の資料1、2を示したが、その証拠は不同意されていながら示されたので、添付とするのか、その部分だけ同意とするのか
- (※弁護側から)調書添付は求めない。現時点では(?)、後で意見書(?)を提出する。
- 次回は、(もう一人の)正犯とされているIさんの証人尋問ですね。今日は、ここまでとします。
■本日の公判は、終了です。
■【情トラ】感想
「助長」、「蔓延」などの言葉に関するところは、やっぱり注目点ですね。あと、「Winnyは、違法なファイルをやりとりするためのソフトだと思ったのか」という質問に対して、裁判長から「その当時、どう思っていたのか」、そして、「その根拠があるはずだが、それは何か」ということを尋ねられていたことは(、最後でもありましたし)、印象深いところです。
次回も、本日と同様に、もうひとりの正犯とされている方に対する証人尋問とのこと。6月27日(月)です。おそらく、残念ながら1時間ぐらい傍聴できればよいほうだと思います。おおよその注目点は、本日の尋問とかわりがないかもしれませんが、みなさんも都合がつく限り傍聴されてみてはいかがですか? 先着順ですが、ここのところ、ずっと余裕があるようですし。
■追記
もうひとつ(削除されるかもしれないので、引用も。)。
(前略)
(証人の)男性は検察側の主尋問に対し「ウィニーは違法なファイルをやりとりするために作られたソフトと思った」と述べた。だが、氷室裁判長が根拠を尋ねたところ、「自分が逮捕されたこと」としか述べず、違法性の前提となる知識についても「ない」と答えた。
一方、弁護側は反対尋問で、府警や地検による男性の調書に、金子被告に関する記述があることに言及。金子被告に対しウィニーで同法違反を蔓延させる意図を感じたり、「著作権法違反常習者が待ち望んだファイル」などと述べていることについて、男性は「僕から言ったのではなく、検事らから言われたことに同意した」と話し、「誘導されたとの記憶はあるか?」との問いにも「はい」と答えた
Yahoo!ニュース−毎日新聞−ウィニー事件:使用男性、証人尋問で「違法知識ない」−−地裁公判 /京都
参考まで。ここの傍聴録と読み比べされてみては、いかがでしょうか。