3年前の春、当時外務大臣だった麻生太郎氏の講演を聞いた。「日本外交と自民党総裁選」の題でポスト小泉に意欲を示し、また得意の漫画や音楽分野における日本のブランド力を説いた。
時がたって麻生氏は首相の座にいるが、自らのブランド力低下は著しい。本人だけでなく自民党全体が迷走気味だし、民主党も新旧代表の献金問題で揺れる。今の日本政治はとてもではないが海外に誇れる状況ではない。
自民、民主の対立で不毛の観が強い国会だけれども、2007年の参院選で衆参の与野党勢力が逆転する「ねじれ」が起きた直後は、少し違った。状況の変化を活力にできるのではと期待があった。
衆参とも与党が強い時代と違い、それぞれを制した与野党が互いを尊重して相手の言に耳を傾ければ、政策をより磨き上げられるというわけだ。当時、本紙の社説も「知恵を持ち寄れ」と書いている。
全くできなかったわけでもない。与党側による衆院再可決が目立つ一方で、課題は残るものの水俣病救済法案が与党と民主党の合意を経て衆院を通過し、公文書管理法も同様の手順を踏んで成立した。
いがみ合うばかりでなく、政治家は二大政党時代のよりよい政治の在り方について考えてほしい。日本政治のブランド力を、少しは高めなければ。