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路上に「救護所」まるで野戦病院 大阪・パチンコ店火災

2009年7月6日1時39分

写真:火災のあったパチンコ店は、阪神なんば線千鳥橋駅前の商店街の入り口にある。消防車や救急車が駆けつけ、周囲は騒然とした=5日午後6時7分、大阪市此花区、矢木隆晴撮影火災のあったパチンコ店は、阪神なんば線千鳥橋駅前の商店街の入り口にある。消防車や救急車が駆けつけ、周囲は騒然とした=5日午後6時7分、大阪市此花区、矢木隆晴撮影

写真:火事のあったパチンコ店の向かいには、多くの人が集まって消火や救助の様子を見守った=5日午後4時50分、大阪市此花区、朝日新聞社ヘリから、高橋正徳撮影火事のあったパチンコ店の向かいには、多くの人が集まって消火や救助の様子を見守った=5日午後4時50分、大阪市此花区、朝日新聞社ヘリから、高橋正徳撮影

写真:パチンコ店前の路上に、焼けこげたシャツのようなものが残っていた=5日午後10時19分、大阪市此花区、矢木隆晴撮影パチンコ店前の路上に、焼けこげたシャツのようなものが残っていた=5日午後10時19分、大阪市此花区、矢木隆晴撮影

 パチンコ店前には何台もの救急車や消防車が集まり、街の人たちも救助に加わった。

 パチンコ店と同じビルにある不動産会社の男性社員(31)は「店から飛び出してきた女性は右足が燃えていて、悲鳴を上げて消そうとしていた。直後にほかの客もどっと出てきた。『息子が中にいるから助けて』と叫ぶ女性もいた」と話した。

 別の会社員男性(59)も、全身火に包まれた高齢の男性が「熱い、熱い」と叫んでいるのを見た。足に火が燃え移った客には、近くの薬品店の店員らしき人がホースで水をかけていたという。店内が煙で充満していたせいか、出てきた人は皆せきこんでいた。

 店内から逃げ出した客の女性(19)は「地面に横たわった人が、火を消すため消火器の泡を吹き付けられていた」と興奮気味に話した。

 現場前の路上には黄色いビニールシートを敷いた「応急救護所」が設置され、ズボンが焼けて足が赤くただれた男性や、髪の毛が焦げた男性ら5、6人が放心状態で座り込んでいた。心臓マッサージを受けている人もいた。

 救急隊員らはやけどの手当てなど応急処置に追われ、次々と担架に乗せて救急車に運び込んだ。その後、しばらくすると、路上に大型の救護用テントが設置され、まるで野戦病院のようだった。

 けが人は10カ所近くの病院に分散して搬送された。大阪市都島区の市立総合医療センターには、パチンコ店の客の中間憲一郎さん(69)=此花区=と、この店で働いていた延原麻衣さん(20)=大阪市福島区=が心肺停止の状態で搬送され、いずれも間もなく死亡が確認された。

 センターの当直職員によると、中間さんは全身がすすで真っ黒だったうえに熱傷がひどく、どんな服装かわからないほどだった。午後8時ごろに身元確認に訪れた弟によると、中間さんはひとり暮らしで、ボイラーマンだったという。弟は「兄は足が少し悪かった。顔が焼けて、見られんかった」と話し、遺体が移された此花署へ向かった。

 延原さんはパチンコ店の制服らしいものを着て、腰の後ろにマイクをつけたままだった。やはり搬送時には全身が黒くすすけていたという。

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