AV男優の苦悩～ＡＶ現場日記～

昨日の２絡みの疲れが残る中、今日の現場・・・。
昨夜久々にお風呂に浸かってみたりしたのだが、朝起きるのが辛いほどにまだ疲れは残っていた。
今日は１絡みで終わりということで、多少気が楽だったが、終わってみると思いの他大変な現場だった。
何が大変だったのか？
内容は割とソフトな素人初脱ぎ物。
初めてのＡＶ撮影で緊張している女優さんを安心させながら、優しいＳＥＸを心掛ける。。
でもそんな気遣いは僕も慣れているので、なんてことはない。
大変だったのは、今日の女優さんのノリが良くなかったこと。
なぜノリが悪いのか？
彼女自身が、ＡＶ女優として望んでここに来ているわけではないという事情がそうさせていることがわかった。
その事情とは？

彼女はまだ２０代前半で既婚者だった。
夫の借金を返すために彼女が選んだ道。
それがＡＶ女優・・・。
一昔前にはよく耳にしたＡＶ女優の志望動機だが、昨今ではそんな悲壮感漂う話はあまり聞かなくなった。
もっと気軽にバイト感覚でこの業界に足を踏み入れる女性が増えた。
「ＡＶ男優と一度でいいからしてみたい」なんて女優さんもいたりする。
最近の女性は結構ＡＶを観てたりする。
昨日の女優さんには、「黒崎さんＡＶで観たことありますよ。いっぱい出てますよね。」と挨拶された・・・。
そんな彼女達は、恥じらいもなく、最初からベテランＡＶ女優のようなことができてしまう。
しかし今日の女優さんは違った。
経験人数は今の旦那さんを含めて３人。
男性を喜ばせるテクニックは処女かと見紛うほどぎこちなかった。
それが罪悪感からくるものなのか、経験不足からくるものなのか、その時はわからなかった。
しかしＳＥＸシーンが進むにつれて、彼女の罪悪感がどんどん深まっていくのを感じた。
彼女のぎこちなさが全て罪悪感からきているのだということを確信した。
時折彼女は辛そうな表情を見せた。
その彼女の罪悪感を僕にはどうすることもできない。
愛する夫のために、愛もない偶然出会った男に今抱かれている。
それは自分を犠牲にするという愛の形。
その悲しさを抱きしめる僕の思いは複雑だった。
彼女が悲しそうな表情を湛えながらも敏感に感じてしまう体、漏れる声・・・。
そんなＡＶ女優になりきれない彼女のジレンマを感じながらも、仕事をまっとうしなければならないＡＶ男優の僕・・・。
こんな時、本来癒されるはずのＳＥＸで究極のストレスを感じなければならない。
彼女の心は、僕とのＳＥＸなんて決して望んでなんかいない。
それが途中から僕の心に痛いほど伝わってくる。
心が繋がらない相手との体の繋がりほどストレスを感じることはない。

発射後、僕の心は疲れ果てていた。
心の充実が伴なった体の疲れは心地いいものだが、空白の心が生む疲れは命を削る・・・。
僕は頭痛と吐き気に襲われながら池尻大橋のスタジオを出た。
時間は午後３時前。
昼食を食べていない僕の胃袋は泣いているはずなのだが、僕は一気に池尻大橋から渋谷を抜け、地下鉄で家路に着いた。
その後、４時前から家飲み。
空白の心と胃袋をアルコールで埋めていく。
もう春なのに、まるで雪かきをしているかのような空虚感・・・。
それがＡＶ男優の仕事・・・。

明日は、あるカップルのお宅訪問企画。
どんな内容かは、まだ分からない。
彼氏と３Ｐ？
それとも彼氏が見ている前で彼女とのＳＥＸ？
どちらにしても、またストレスを感じるＳＥＸになりそうだ。
今夜はまた酒飲んでリセットします。
しかし、こ、こ、腰が痛い・・・。