県警が捜査している大和郡山市の「山本病院」を巡る詐欺事件。病院が路上生活者を含む弱者を食い物にし、生活保護費という公金を不正に得ていたのではないかという疑念は、取材を進めるに連れて強くなっている。
県が内部告発を受けたのが07年。医療関係者の間でも、悪いうわさがあったという。しかし、県の立ち入り調査では、不正のしっぽをしっかりと捕まえきれなかった。証拠を積み重ね、悪行を暴くのは確かに難しい。
しかし、舞台は命や健康に直接かかわる病院だ。早い段階で疑いにメスを入れたり、患者を守る措置を取ったりはできなかったのかと、率直に思う。(上野)
毎日新聞 2009年7月5日 地方版