いま、できることをやってみる。日本のマット界が一つになって、天国で見守る三沢さんに最高の追悼試合を提供する。約2万5000人のファンが投げ込んだ献花で埋め尽くされたリングを見つめた百田副社長は、三沢さんの追悼興行を検討し、他団体へ呼びかけることを明言した。
「時期を置いて大きな試合ができれば…。(他団体の)みんなと相談していきたい」
三沢さんが亡くなって以降、この日のお別れ会に全力を注いできた。5日には選手会興行があり、12日には新シリーズが開幕する。所属選手たちも社長の死を受け入れ、乗り越えようとしている。そこで浮上するのが追悼興行だ。
ノアは現在、他団体と積極的な交流を続けている。20日には所属する杉浦貴(39)が、新日本プロレスのIWGPヘビー級王者・棚橋弘至(32)に挑戦する。他団体のスケジュールにもよるが、99年1月に亡くなったジャイアント馬場さんの追悼興行は全日本プロレスのマットにB・サンマルチノ、G・キニスキー、ザ・デストロイヤーら往年の名外国人レスラーが出席し、4カ月後の5月に開催された例がある。
会場は、ノア旗揚げの聖地ディファ有明のほかに、観客動員が見込める日本武道館などが候補地となりそうだ。
全日本時代から三沢さんのライバルだった小橋建太(42)は、「ノアを何とかしないといけない」と団体の人気継続を誓う。06年に腎臓がんの手術を受けたが、最近はシリーズ全戦に参戦するなど、元気を取り戻した。三沢さんの追悼興行へ、役者と舞台は整いつつある。
三沢さんのお別れ会に訪れたファンは2万5000人を超え、会場の外には記帳や献花をする列が、日が落ちてからも延々と続いた。東京・世田谷区から来たという男性(33)は「ずっとここにいたいけど、泣いてしまいそうだったので出てきました」と目を潤ませていた。また、江戸川区の大学2年の男性(19)は「人の多さに驚きました。これだけの人が三沢さんを応援してんだなと…。今後もノアを応援することが三沢さんへの供養です」と誓った。