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「患者図書館」で医療情報を提供 東北初、山形の済生館にオープン

2009年06月29日 19:39
 患者や家族に医療情報を提供するため、病気や治療法、検査、薬に関する医学書をそろえた患者図書館「健康の広場」が29日、山形市立病院済生館にオープンした。患者図書館の整備を全国で進める特定非営利活動法人(NPO法人)「医療の質に関する研究会」(理事長・日野原重明聖路加国際病院名誉院長)が主な費用を負担し、東北で初めて開設した。700冊でスタートし、3年間で1000冊を整備する。

 患者図書館は、患者や家族が病気や治療への理解を深めることで不安を解消し、医師らとともに治療方法などの意思決定を行うことを支援し、医療の質を高めるのが目的。医療従事者にとっても患者らに効果的に情報提供できるツールになる。

 医師ら医療関係者で組織する同研究会は、全国50の病院に患者図書館を開設すべく、2008年度に患者図書館プロジェクトに着手。全国から公募を受け、初年度設置病院に決まった10病院に済生館が選ばれた。書籍購入費など開設費用の大半を同研究会が負担。活動は製薬会社アストラゼネカが全面的に支援している。

 済生館の患者図書館は、2階にあった外来休憩室などを改装した広さ54平方メートルのスペースに設けた。「医学百科」「最近の新薬」「腎臓の病気を防ぐ、治す」など現時点で医学書700冊をそろえる。読書用としてテーブルやいす、ソファを配置。貸し出しは入院患者に限る。がんなどについて解説したパンフレットなど自由に持ち帰ることのできる資料も用意した。また、医療に関する分かりやすいサイトを閲覧できるパソコンを2台設置した。済生館側は部屋の改装費など70万円を負担した。利用時間は平日の午前10時−午後4時。職員1人が常駐する。

 この日はオープニングセレモニーが行われ、同研究会の前浜隆広図書室プロジェクトディレクターが「患者図書館は病院に必須のもの。全国に広げていきたい」とあいさつし、平川秀紀済生館長に目録を手渡した。済生館開設者の市川昭男山形市長が「患者自らが学ぶことで、医療提供者とコミュニケーションを取る能力を向上させ、より積極的に治療に参加することにもつながる。医療の質の向上のため意義深い施設」とあいさつした。

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