あんた、誰だ。いいこと言うじゃないか。
「あんた、誰だ。いいこと言うじゃないか。
こんな奴が自民党にいたんだ。」
5年前の自民党の法務部会裁判員制度小委員会で裁判員と裁判官の人数をどうするかを議論していた会での原田義昭議員の一言である。
乱暴な物言いであるが、実に率直に自分の感想を語っている。
法務部会の幹部として、長期間にわたって司法改革の議論に参画し、部会長や小委員長として議論をリードしてきた人でなければ、こんな感想にはならなかったであろう。
裁判員制度の導入については、最後の最後まで議論が紛糾し、いよいよ議論を集約しなければならないという最後の段階でも一部の議員が執拗に反対意見を述べてやまない、という状態だった。
たまたま私が出席した日の部会には反対論、消極論を述べる議員の数の方が多かった。
それまでの、司法改革を推進する立場の議員が直前の衆議院議員選挙で落選したり、選挙後の挨拶回りのために永田町に来れない、という事情があったのかも知れない。
検事出身の参議院議員を先頭に反対意見が噴出し始めていたときに、司法改革の意義を説いて、それ以上の反対論を牽制し、小委員長の取り纏めをバックアップしたのが私の発言である。
当時は知らなかったが、自民党の部会では誰でも発言できるが、発言は簡略に、しかも基本的には1回、というのが自然のルールであった。
3回にわたって、しかもそもそも論から始めたのだから、ある意味で司法改革議論の集大成みたいなものだったろう。
「裁判員制度の実現こそが司法改革の柱である、司法への国民参加の試みを絶対に潰してはならない。諸外国では陪審制度や参審制度を採用しているが、裁判員制度はそのいずれでもない日本独特の発明であり、世界に誇りうる制度だ。」
遅れて出席した原田議員が私の発言を聞いて、オッ、と思ったのはある意味で当然かも知れない。
長い時間をかけての自民党の中での議論の集約を、私が滔々と述べているのだから。
平成15年11月の衆議院選挙で当選したばかりの新人議員の発言であっても、さすがに自民党は懐が大きい。
議論の中身が説得的であれば、これが部会としての結論になる。
反対論や消極論の人は議論の流れを見て、自分の意見を撤回しないものの、意見の言い放しで部会から退席する。
これで自民党の意見が決まる。
これで流れが決まった。
昨日、日本弁護士連合会の裁判員制度についての司法シンポジウムが開催された。
現職の衆議院議員として出席できたことは、幸いだった。
そう言えば、確か5年前の11月9日が衆議院選挙の投票日だったなあ。
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