経済格差が広がる中国では、医療費の高騰や制度の欠陥などから患者が受けられる医療の質にも格差が広がっています。中国の医療格差の現状を取材しました。
北京中心部。高層ビルと隣り合わせの古い街並みに現れる「医療室」の手書きの看板。「闇のクリニック」と呼ばれる無許可の病院です。収入の少ない人たちが、こうした病院に頼っています。
安徽省出身の出稼ぎ労働者、劉新雲さん(60)。劉さんも闇のクリニックに通う患者の1人です。1か月の稼ぎは、休みなしで働いても2万円あまり。故郷には4人の子どもを残してきています。
「出稼ぎ労働者は金がないから(闇のクリニックで)診てもらっている」(劉新雲さん)
劉さんの後を追って「闇のクリニック」に向かいました。点滴や注射器らしきものが乱雑に置かれた室内。お世辞にも、病院とは言えません。
「盲腸なの?」(闇医者)
「盲腸はまずいよ!腸だよ」
「腸ね。消炎薬1つと腸の薬1つね」(闇医者)
後日、話を聞くために再びこの診療所を訪れると、中には別の男がいました。
「なんで何度も取材にくるんだ。取材に応じたくないよ」(男)
こうした政府の許可を得ていない「闇のクリニック」は誤診や医療過誤が後を絶ちません。
一方で富裕層向けの病院は、最新の設備が揃っています。この部屋は1泊およそ30万円の特別室です。DVDレンタルに和洋中を揃えた食事など、最高のサービスを提供しています。
中国政府は今後3年間で、国民の9割をカバーする医療保険制度の構築などの医療改革に乗り出しています。
しかし、正規の病院の半額で診てくれる「闇のクリニック」は取り締まりをかいくぐり、なくなる気配はありません。(04日17:41)