東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社会 > 紙面から一覧 > 記事

ここから本文

【社会】

初めて直接謝罪 菅家さんに栃木県警本部長

2009年6月17日 夕刊

菅家利和さん(左から2人目)に謝罪する栃木県警の石川正一郎本部長(右)。左は佐藤博史弁護士=17日午前11時すぎ、宇都宮市の同県警本部で(河口貞史撮影)

写真

 栃木県足利市で一九九〇年、女児が殺害された事件で無期懲役刑が確定し、再審請求中に刑の執行が停止されて釈放された菅家利和さん(62)が十七日、釈放後初めて栃木県を訪れ、県警本部で面会した石川正一郎本部長から「長い間、つらい思いをさせましたことを心からおわび申し上げます」と直接謝罪を受けた。 

 面会後、記者会見した菅家さんは「この人は心から謝っているなと思い、私も許す気持ちになった」。取り調べを担当した警察官や検事についても「わたしの前に来て『申し訳なかった』と言ってもらえれば、許そうと思います」と語った。

 菅家さんに同行した佐藤博史弁護士によると、面会は約三十分間で、石川本部長から逮捕当時の捜査員も代表して謝罪していると言われたという。

 菅家さんの釈放後、県警は「真犯人とは思われない方が、長期間にわたり服されることになり、誠に申し訳ない」とする本部長談話を発表。菅家さんが直接謝罪を求めていた。

 菅家さんは十七日午後、古里の同県足利市を訪れ、大豆生田(おおまみうだ)実市長と面会。市側は菅家さんの意向を尊重した上で市営住宅の入居を提案する。菅家さんは女児が遺棄された渡良瀬川河川敷も訪れ、黙とうをささげる予定。

 菅家さんに対し最高検の伊藤鉄男次長検事や佐藤勉国家公安委員長も記者会見で謝罪。県警は当時の捜査の問題点を検討するチームを設置し、検証結果を公表するとしている。

 東京高裁の再審請求即時抗告審では、女児の下着に付着した体液と、菅家さんのDNA型は一致しないとする再鑑定結果が報告された。高裁は二十三日に、再審開始を決定する見通し。

 

この記事を印刷する