足利事件で冤罪(えんざい)の可能性が強まり釈放された菅家(すがや)利和さん(62)が4日、戦時下最大の言論弾圧とされる「横浜事件」ゆかりの地、富山県朝日町の老舗旅館「紋左(もんざ)」を訪れ、現地で開かれた同事件の再審報告集会であいさつした。菅家さんは、再審で免訴判決が確定した横浜事件と足利事件を重ね合わせ、「警察や裁判所が過ちを犯した点が似ている」と指摘した。
横浜事件では、同旅館で撮影された写真が証拠とされ、共産党再建を謀議したとして、出版社社員らが治安維持法違反容疑で逮捕され、約30人に有罪判決が下された。この日は、横浜地裁での再審で主任弁護人を務め足利事件も担当した佐藤博史弁護士の講演に、菅家さんが同行した。
横浜事件の支援者らを前に、菅家さんは「再審で徹底的に闘って、冤罪の真相を明らかにしたい」と支援を呼びかけた。また4日で釈放からちょうど1カ月を迎えたことについて「多少、外の生活にも慣れてきました」と笑顔で語った。【岩嶋悟】
毎日新聞 2009年7月4日 21時37分