(1)公共機関等
国語純化運動を所管している文化観光部は「われわれの言葉、われわれの文字を正しく使う」事業を推進している。文化観光部の傘下機関である国立国語研究院では、運動を推進するための国語研究が地道に続けられており、その成果を毎年「国語純化資料集」などの発刊を通して発表している。さらに有識者の団体である国語純化推進会では、国語純化に対する研究発表や当面の問題を論議し、「国語純化の道」と題した冊子を発刊している。
鉄道庁では、韓国鉄道100周年記念鉄道庁用語改善事業に取り組んでいる。鉄道用語には日本統治時代からわかりにくい言葉が多く残っているため、乗客がわかりやすい言葉に換えるねらいがある。例えば「スンガジャン(乗降場)」は「タヌン コッ(乗る所)」「チョンド ヨク(前途駅)」は「タウム ヨク(次の駅)」というように、難しい漢字語からやさしい固有語に換えている。
韓国の中央銀行にあたる韓国銀行は、難しい経済用語、例えば「カムジャ(減資)」を「チャボンクン カムソ(資本金減少)」、語そのものの意味は不明だが、習慣的に使われている語、例えば「クジョワ(口座)」を「ケジョワ(計座)」に換えるなど、普通の人にも納得しやすい語に換えている。
その他さまざまな公共機関・施設でこうした従来からの使用言語の見直しが行われている。
(2)学校教育現場
教育部(日本の文部省に相当)では、小・中・高校で「正しい言葉、美しい言葉を使う」運動を教科書に取り入れて推進させている。例えば「チュリップ オムグン(出入り厳禁)」を「トゥロオジ モッタム(出入りできず)」というように、漢字語表記を固有語のやさしい言い回しに換えたり、不自然な言葉と思われる「タマンハダ(多忙である)」や「トゥッカダ(得る)」をそれぞれ「パップダ(いそがしい)」と「オッタ(もらう)」に直したりしている。
大学では国語国文学科を中心に国語運動学生会を組織し、固有語を活かし新語を作る運動や学術発表会、資料集発刊などの活動を行っている。
(3)マスコミ
放送業界では、韓国放送倫理委員会が放送用語や運動競技用語の純化に対し、直接的な作業を行っている。さらに韓国の公共放送であるKBS(韓国放送公社)は韓国語研究会をつくり、番組「正しい言葉、美しい言葉」を放送、MBC(文化放送)もアナウンサー室が中心となり同様の番組を制作・放送している。
新聞業界では、韓国新聞編集人協会が報道用語の統一作業を通して純化運動を行っており、また各新聞社の取組みとして、東亜日報、韓国日報といった大手新聞社などは「正しい言葉、美しい言葉」というコラムを設けて国語純化運動に取り組んでいる。
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