Print this Post Article Lists Back

【記者手帳】早期留学第1世代の幸せ

 1993年の金泳三(キム・ヨンサム)政権発足とともに「世界化」の熱風が吹き、翌年から2000年までの間に少なくとも1万人以上が韓国国内の学校を辞め、外国へと旅立った。いわゆる「早期留学第1世代」だ。

 当時旅立った若者の社会進出が始まった。本紙が早期留学第1世代100人を取材した結果、国内企業に就職した早期留学経験者の平均年収は勤続3年目で4300万ウォン(約325万円)だった。金額が多いか少ないかは人によって見解が異なるが、それでも彼らにつぎ込んだ「設備投資」に及ばないことは明らかだ。

 費用と効果をてんびんにかけると、1990年代以降の早期留学ブームは失敗した実験だった。夢に見たアイビーリーグ(米東海岸の名門私大)を卒業し、1億ウォン(約750万円)を超える年収を得た人はごく少数だった。大半は平均より少し収入がましなだけの「サラリーマン」になった。そのわずかな差のために両親は短くて3-4年、最長で10年も毎年数千万ウォン(数百万円)の送金を続けた。

 それにもかかわらず、早期留学第1世代の10人中9人は「自分の留学は成功だった」と答えた。「幼くして両親と離れたことが寂しく、それまでにかかった費用と傾けた努力を考えれば、待遇が少し不満だ」としながらも、10人中8人が「自分の子供にも早期留学をさせる」と答えた。

 彼らは早期留学を評価する理由として、「多彩な課外活動を楽しみ、幸せな学生時代を過ごした」という点を挙げた。中2で留学した男性(29)は「米国の教育はA+B=Cになると無条件で教え込むのではなく、A+BがCになる理由を説明するやり方だ。おかげで他人と異なる考え方を持つことが怖くはなくなった」と答えた。

 幸せは将来に対する自信と希望へとつながった。早期留学第1世代の場合、現在の待遇に対する満足度にも個人差がある。しかし、「時間の差こそあれ、いずれはうまくいく」という自信を抱いていることでは共通していた。

 早期留学第1世代が幼くして外国に渡り、そこで得た最大の収穫として、学歴でも英語力でも金銭でもなく、「幸せ」を挙げたことは示唆に富む。延世大社会発展研究所が先月、全国の小学4年生から高校2年生まで5000人を対象に「幸福度」を調べ、経済協力開発機構(OECD)加盟国の2006年のデータと比較した。結果は韓国が最下位だった。

パク・スンヒョク記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
関連記事 記事リスト

このページのトップに戻る