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原発の独自技術不足、UAE事業受注に暗雲(下)

◆「おいしい部分」だけ外国企業に

 韓国電力公社はウェスティングハウスの要求をどこまで受け入れるかで悩んでいる。韓国水力原子力(韓水原)の関係者は「UAEの原発を受注できても、中心部分の原子炉冷却材ポンプとMMISの工事はウェスティングハウスに任せざるを得ない状況だ」と説明した。冷却材ポンプとMMISは原発本体の設備工事費の48%を占め、原発1基当たりの工事費が3500億ウォン(約265億円)を超える。このため、付加価値が最も高い部分を米国側に譲らなければならないことになる。知識経済部関係者は「米政府の承認も必要となる以上、ウェスティングハウスと手を結ぶのが好ましい」と語った。

 ウェスティングハウスは、UAE原発事業だけでなく、今年韓国で着工予定の新蔚珍原発1、2号機の中心設備納入も要求しているという。そうなれば、斗山重工業など韓国企業が被害を受ける。韓水原関係者は「重要部分の技術力がなく、海外受注もうわべだけになる可能性がある」と懸念を示した。

◆国際原発市場の進出にハードル

 ウェスティングハウスに足元を払われ続ければ、2020年時点で800兆ウォン(約60兆円)規模といわれる世界の原発市場への進出機会を逃す事態が現実となる可能性もある。韓国電力公社はアキレスけんとなる重要技術を早期に独自開発する方向に解決策を見いだそうとしている。同公社のイム・ヒョンスン原子力事業チーム長は「2012年までに重要3技術を独自開発し、新蔚珍原発1、2号機とUAEの原発に採用する」と語った。

 韓国は施工技術とコスト管理の面ではかなり競争力を確保している。韓水原によると、韓国の原発施工期間は4年2カ月で、フランス(4年6カ月)、日本(5年5カ月)より短く、原発建設費用も出力1キロワット当たり1300ドル(約12万5000円)でフランスや米国の3分の1と優れている。

 しかし、2012年までに重要技術の独自開発は困難だとの声もある。エネルギー経済研究院のノ・ドンソク博士は「開発もできていない技術を海外の原発に採用するというのは無理な発想だ。独自技術を開発できても、それを利用して原発を建設し、安定的に運転するためには10年はかかる」と指摘した。韓水原関係者は「独自技術の開発と同時に技術力を備えた外国企業との安定的提携で海外受注を目指すのが現実的だ」と話した。

ペ・ソンギュ記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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