大阪JCとは

理事長所信

* 社団法人大阪青年会議所
第59代理事長
藤井 俊成

「Progress City Osaka」の創造
−自ら前向きな行動する人びとであふれさせよう!−

はじめに

大阪は、1500年も前の時代から国際交流の活発なまちでした。中国や朝鮮からの渡来人技術者を積極的に受け入れて大きな古墳群をつくりあげた時代、遣隋使、遣唐使の出港地だった時代があり、明治以降の近代化の過程ではアジアに開かれた工業・商業都市として繁栄しました。

その繁栄の基盤となったのは、大阪人の気質が、外から相手を迎え入れる心遣い、相手を思いやる心遣いが深く細やかであったこと、そして自らのうちに取り込んだ知識と知識、知識とモノ、モノとモノを融合して新しい文化を創造し、商いにつなげていくことに長けていたからです。

急速に進展する情報化社会の現代は、何が真実なのか、どの情報が重要なのか、正しく見極めるのは難しい時代です。情報が多すぎることが却って、傍観者的な態度をとる、自己中心的な人間を育て、無用な摩擦や衝突を引き起こしています。

大阪が新たな進歩を遂げるには、市民が自ら考え、自分の意志で行動する能動的な人間として、多彩な才能を発揮し開花させるプログレスな環境づくりが欠かせません。情報に振り回されることなく、課題や問題に対して、自らが前向きに行動し解決策を見つけ出していくアクティブな人間を育てなければなりません。フェイス・トゥ・フェイスのつながりから、相手の気持ちを想い、自らの事として思いやりある心遣いやアクティブな行動ができるようになれば、大阪のまちには再び活気があふれ、人びとは笑顔で働き、暮らせるようになります。

そのためには、日本国内はもとより広く国際的な交流の中で多様な価値観、文化や生活習慣をお互いが理解しあい、まち、人に対する情熱にふれることで他人まかせではなく、まちを愛する者として、自ら考え、自ら行動し、進歩的で活力のあるまちづくり・人づくりをしていく必要があります。私たち一人ひとりが、大阪のまちに関心を持ち、市民だけではなく、世界の人びとの考え方を知り、みんなのことを想い、感謝の心と謙虚な姿勢で行動を起こし、必ず大阪のまちが進歩する波を起こし続けなければなりません。

2009年度大阪青年会議所は、思いやりの心遣いを大切にする豊かな心を備え、何事にも前向きに活力あふれる頼もしい行動力を持ったアクティブな市民であふれる「プログレスシティ・OSAKA」を創造します。

笑顔あふれる人びとの創造

今の子どもたちは、大人との会話と言えば両親や学校の先生と交わす程度で、近所の人とも挨拶をしなくなりました。黙っていれば摩擦もなく、煩わしさを感じることもないからだと思いますが、そういう人間関係の希薄さは、地域社会の活力を失わせています。

どんなに変化の激しい時代でも、世の中には変わらないものがあります。それは、子どもたちの屈託のない笑顔です。その笑顔は世界共通であり、たとえどのような境遇でも、かけがえのない笑顔を見せてくれます。人は、他人の生き方や考え方を認めることによって、自分が認められていることを学びます。相手を認め合う中から、自分を知り、相手に対して思いやりの気持ちを持ち、心遣いの大切さを学ぶのです。そのためには、あらゆることに挑戦し、無限の可能性を引き出すことのできる環境が必要です。将来に夢があり、その夢を追いかけている子どもたちは、仲間同士で仲良く遊ぶことから、共に考え、助け合う心を発揮するのです。さらには、世界中とつながることができたならば、大阪の将来の可能性が一層広がります。世界は人びとのつながりによって動いていることを知り、未来を担う世代としての価値観が拡がっていきます。

また、子どもたちは、親世代の背中をみて成長します。1つの目標に向かって協力し、汗を流して活動する大人たちの謙虚さ、我慢、忍耐などを見て、はじめて親の偉大さ、共に生きることの大切さを学ぶのです。目的に向かってあきらめず、妥協することなく挑戦している親世代の姿から、笑顔あふれ、たえず夢や目標に向かって、たとえ失敗しても、何度でも努力する人間に育てたいのです。

人びとの笑顔があふれるまちにするためには、いつでも自分の夢、目標に向かって自ら前進し、相手のことを自分のことのように想い行動することの大切さを伝える必要があります。その子どもたちが大きくなった大阪を想像してみてください。一人ひとりが思いやりある心遣いを持ち、積極的に行動するようになれば、大阪のまちは豊かな心を備えた人びとで、不死鳥のように活力漲ることは間違いありません。

ハンド・トゥ・ハンドの大阪の創造

大阪は、時代の変化に合わせて、試練を乗り越え、助け合い、華麗なる転身をとげてきました。それを可能にしたのは、大阪の人びとの才能である、時代の変化を読み取る能力、時代の変化にすばやく対応する行動力、そして人びとのニーズに合わせた商品やサービスを開発する創造力です。私たちは、市民の活力の源泉となってきた才能を掘り起こし、今の時代に合わせた形に組み換えて、広く大阪のまちに発信し、人に対する心遣いやまちを大切に想う心を醸成していきます。

また、大阪のまちは、出身にこだわらず、やる気がある元気な人と分け隔てなく接し、共に発展してきました。そうしたオープンマインドで働きやすい文化風土を守り、発展させるためにも、大阪のまちの環境の整備、仕組みの見直し、成長戦略への取り組みが必要です。アクティブなまちへと進化していくためには、大阪のまちに留まらず広く海外で活躍している方々の経験が必要です。私たちは、未来を見据えた大阪のまちづくりである成長戦略を創らなければなりません。

さらに、まちのリーダーに任すだけではなく、自分から拠って立つ大地を掘り起こしましょう。大阪のまちの強みと弱みを自覚し、お互いに助け合う、思いやる心遣いと、頼もしい行動を持って大阪のまちの遺伝子に活力を与えなければなりません。

今、私たちが実践すべきことは、時代を読み取り、ニーズに合わせ創造し、変化に素早く対応する行動力を発揮し、手と手を取り合いみんなで行動を起こすまちの実現をしていくことです。

包容力のある大阪のまちの創造

大阪のまちの復活は、歴史が示すように、地球規模のフリー・フェア・オープンな経済への転換がはかれるかどうかにかかっています。自由で、公平な、開かれたまちにすることができれば、大阪は活力を取り戻します。

ただし、フリー・フェア・オープンな大阪のまちづくりには、市民一人ひとりの意識改革が必要です。自由であるためには、自らを律する能力を育てなければなりません。公平であるためには、誠実で信頼される人間でならなければなりません。開かれたまちであるためには、世界各国から大阪を訪れるすべての人びとを歓待するおもてなしの心が欠かせません。

今、私たちに必要なのは、相手に喜んでもらいたい、相手のためになりたいと思う心から始まり、暖かさや快適さ、楽しさやくつろぎ、やさしさや愛を提供することであり、この心遣いはお客様のニーズを満たすマーケティングにもつながっています。顧客満足度を高め、社会的責任を果たすこと、それがおもてなしの心であり、気付いた心遣いを積み重ねていけば大きな成果を生み出せます。

また、人間の創造力や調和力は、現場で育てられます。「我以外みな教師」という言葉がありますが、私たちは他者から、また世界から、謙虚に素直に学び取らなければなりません。様々な機会での展示会やイベントなども国際交流の場として活用すべきです。大阪のまちに集った多くの人びとに現状を見ていただき、触れ合い、意見を交換し、教えを請えば、新しい知恵が生まれます。アドバイスを素直に受け入れ意識を改革し、それを自らの成長の糧にすることができれば、私たちのまちは一気に世界のトップランナーになることができます。

行動力あふれる組織を目指して!

青年は大きな夢を抱き、必ずやり遂げるという気概を持ち、着実にしかも謙虚に行動することによって成長します。大阪のまちに夢を描くことは、空想や幻想ではありません。最初は小さな一粒の種かもしれませんが、私たちが愛情をもって育てていけば、必ず自らの夢を描くことはできます。

人生において大切な20代、30代の時期に、地域開発・社会開発という課題に取り組み、しっかりとした価値観を育て、他者を受け入れ、自らの夢にむかって行動し、夢の一つひとつを達成していくことは何よりも大事なことです。

幸い私たちには900余名の友がいます。一人ひとりのできることは小さなものだとしても、メンバーの心を一つに合わせたならば、驚くほどの大きな変化を起せます。また、どんな難しい課題にも挑戦し、どんなに厚い壁、高い壁にぶつかっても乗り越えることができます。失敗をおそれない前向きな姿勢で自らの担いに取り組み、一人ひとりが「市民のために」「大阪のために」という心遣いを忘れず、自らの役割を果たしましょう。

私たちが発信する情報や活動の成果は、間違いなく社会の好循環につながります。自分が汗まみれ、土まみれになったことは、自らの身体にしみこみ、今後の人生をかたちづくる基盤となります。

私たちは、一人ひとりが未来を創造する主体者です。自らが光を生み出す人間になり、何かを待ち続けるのではなく、自ら関心を持ち行動することができる人間にならなければなりません。誰かが意識改革の火種に火をつければ、火は燃えうつり、素早く多くの人、世の中が変わります。

Small Things Make People Happy

どんなに小さなことでも、他者のため、世の中のために前向きに取り組みましょう。自分の意志で行動を起こすことがみんなを幸せにします。まず行動に移しましょう!

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