from Wired Blogs

レギュラー8ブログ以外にもある、米国Wiredブログ群から、興味深いエントリーを紹介。

「日本のカレーライス」を熱愛する米国人記者が語る『ゴーゴーカレーNY店』(2)

2008年5月 1日

Chris Kohler

(1)から続く

[カレー店]『リトルスプーン』のほうがもっと好きだが、贅沢を言う気はなかった。あと20分ほどで閉店という時間だったが、店までは20ブロックほどしか離れていなかった。私はタクシーに飛び乗った。

ところが、運転手は行き先を間違え、私はタクシーに乗りながら、着くころには絶対店は閉まっていると確信していた。閉店の5分前、午後9時50分きっかりに、私は通りの角から18メートルほどの距離をダッシュし、何とか閉店前に店内に入った。

私を待っていたのは、東京を約14坪分だけきれいに切り取って、ニューヨークの「ガーメント・ディストリクト」に移し変えたかのような場所だった。

ゴーゴーカレーは、近所に店舗を構える『吉野家』のように、にぎやかなタイムズスクエアのど真ん中にあるわけではないが、通りさえ間違えなければ見逃すことはない。派手な黄色と赤の日よけ、英語と日本語で書かれたカレーライス屋を示すのぼり、チラシで覆われた窓が目印だ。


私はポークカツカレーとチキンカツカレーの2つを注文した。もちろん、ジャーナリストとしての使命感からだ。

ゴーゴーカレーのカレールーは、東京で一番というほどではないが、上位の部類に入る味だ。熱々で甘くて風味にあふれ、クリーミーで豊かな味がする。

「僕は日本のカレーを食べたことがあると思っていたけど、間違いだったみたいだ」。翌日、昼食にゴーゴーカレーへ連れて行くと、『ワイアード』誌の記者Clive Thompson氏はこう言った(もちろん、私はその日もゴーゴーカレーへ昼食を食べに行ったのだ)。

水曜日の昼時、こちらに住む日本人と思しき客たちで店は満席だった。


こうした日本人たちも、カレーを愛する――おそらくは私以上に――人々だということを理解しなくてはならない。カレーライスは日本人のソウルフードだ。米国の子どもたちがマカロニチーズをガツガツ食べるように、日本の子どもたちはカレーライスをガツガツ食べる。

以前に東京で見たポスター[日本語版編集部注:カレー店内に貼ってあった販促ポスターの模様]によると、平均的な日本人はラーメンを週に1回食べるが、カレーは週に4回食べるらしい。だからゴーゴーカレーが、この心なごむ定番料理を、おおむね日本人が母国で慣れ親しんでいるのと同じやり方で提供する米国初の店舗だという事実を、米国在住の日本人が見過ごすはずもない。

この日本を代表する料理が、米国指折りの多文化地域でも大人気になっていないのは本当に不思議な話だ。しかしあるいは、それほど不思議ではないのかもしれない。大都市圏に住む人々の多くは、タイ風カレーやインドカレーを食べたことがあっても、週に4回も食べたりはしない。彼らは日本のカレーが、それらの国のカレーとは全く違う、別の料理であることがわからないだろう。

いったいどうすれば、昼食に茶色いドロドロした料理を食べる気持ちを米国人に起こさせることができるだろう? 私の経験では、無理やり食べさせるしかない。

Thompson氏はとても気に入った。私はこれまで、多くの友人や一緒に日本を訪れた人々に、私と一緒にカレー専門店に行ってカレーを食べてみるよう勧めてきたが、その結果、私がこれほどカレーを愛する理由をたちまちはっきりと理解しなかった人は、ただの1人もいない。

だから、ニューヨーカーの皆さんに言いたい。私が日本のカレーの中毒になっている理由を知るためだけでも、ぜひゴーゴーカレーを訪れてほしい。最高に便利のいいイーストビレッジにも2号店がある。

ゴーゴーカレーが提供するおいしい日本の代表的料理を食べて、サンフランシスコにも支店がオープンするまで、店の利益に貢献し続けてほしい。サンフランシスコ店がオープンすれば、私はきっと、店の稼働率を格段に上げるほどに通いつめるだろう。

ゴーゴーカレー
営業時間:午前10時55分〜午後9時55分
年中無休
住所(1号店):273 W. 38th St. (8th Avenue)
(イーストビレッジ店):117 2nd Ave. (7th Street)
電話番号:212-730-5555(1号店)

[Chris Kohlerは、ワイアード・ゲーム専門ブログの記者。この翻訳記事は抄訳です。]

★Chris Kohlerによる過去記事から

筋力がつき、体重も減少:『Wii Fit』1ヵ月体験レポート(動画で本人も登場)

2ちゃんねるで見つけたゲーム機売上のAA

メイドカフェ初体験レポート

『ワイアード』誌で日本漫画特集:「Mangaはどのように米国を征服したか」

美少年ゲーム『DUEL LOVE』を男女ペアでレビュー

Wii:ゲーム機戦争を制した「逆転の発想」

『Wii』崩壊の日は来るか――ゲーマー4類型論で分析

任天堂の宮本茂氏が語る、ゲームの新たな発想

久夛良木健氏に続け! ゲーム業界重役『迷言大賞』は誰の手に?

ゲーム:『大神』デザインで大失態+読者が決めた「史上最大の失敗作」は?

[日本語版:ガリレオ-矢倉美登里/高橋朋子]

WIRED NEWS 原文(English)

フィードを登録する

前の記事

次の記事

from Wired Blogs

過去の記事

月間アーカイブ

ブログ一覧

  • Danger Room
  • Wired Science
  • Compiler
  • Gadget Lab
  • Cut up Mac
  • Epicenter
  • Autopia
  • Listening Post
  • from Wired Blogs
  • 飯田泰之の「ソーシャル・サイエンス・ハック!」
  • 小島寛之の「環境と経済と幸福の関係」
  • 白田秀彰の「網言録」
  • 濱野智史の「情報環境研究ノート」
  • 増井俊之の「界面潮流」
  • 歌田明弘の「ネットと広告経済の行方」
  • 小田中直樹の「バック・トゥ・ザ・フューチャー」
  • 携帯大学 web分校
  • 藤元健太郎の「フロントライン・ビズ」
  • yomoyomoの「情報共有の未来」
  • 山路達也の「エコ技術研究者に訊く」
  • 木暮祐一の「ケータイ開国論」
  • 関裕司の「サーチ・リテラシー」
  • 藤田郁雄の「サバイバル・インベストメント」
  • それは現場で起きている。
  • 佐々木俊尚の「ウィキノミクスモデルを追う」
  • 藤井敏彦の「CSRの本質」
  • 白田秀彰の「現実デバッグ」
  • 藤倉良の「冷静に考える環境問題」
  • 石井孝明の「温暖化とケイザイをめぐって」
  • 竹田茂の「構成的アプローチ」
  • 後藤和貴の「ウェブモンキーウォッチ」
  • 合原亮一の「電脳自然生活」
  • Web2.0時代の情報発信を考える
  • ガリレオの「Wired翻訳裏話」
  • 高森郁哉の「ArtとTechの明日が見たい」
  • 合原亮一の「科学と技術の将来展望」
  • 渡辺保史の「コミュニケーションデザインの未来」
  • 松浦晋也の「モビリティ・ビジョン」
  • yah-manの「イマ、ウェブ、デザイン、セカイ」
  • 西堀弥恵の「テクノロジーがもたらす快適な暮らし」
  • 佐々木俊尚の「電脳ダイバーシティ」
  • 荒川曜子の「それはWeb調査から始まった」
  • Intel International Science and Engineering Fair (Intel ISEF)
  • 織田浩一の「ソーシャルメディアと広告テクノロジー」
  • 小田切博の「キャラクターのランドスケープ」
  • デザイン・テクノロジーによるサステナビリティの実現
  • デザイン・ビジュアライゼーションが変えるマーケティング・ワークフロー
  • サービス工学で未来を創る
  • IPTVビジネスはどのようにデザインされるか
  • マイケル・カネロスの「海外グリーンテック事情」
  • 大谷和利の「General Gadgets」