2009年7月3日
建設をめぐり賛否が渦巻くアニメやマンガの「殿堂」、国立メディア芸術総合センター(仮称)の第1回設立準備委員会が2日、文化庁で開かれた。同庁は、当初案に盛り込んだお台場への立地や新築にこだわらず、事業委託の形で運営の一部に国費を回すなど、センターのあり方について実質的に軌道修正。幅広い議論を呼びかけた。
マンガ、アニメ、ゲーム、メディアアートの専門家らが出席。青木保長官は冒頭で「(既存の建物の)改装も含めて考えたい」と述べ、お台場への立地も含め、新築にこだわらない考えを示した。委員からは「既存の美術館との合築も考えては」との意見も出た。
運営費も、これまでは「国費は使わず自己収入で」という方針だったため、「ハコだけで中身がなくなる」との批判を招いたが、高塩至次長は「メディア芸術祭を含む大規模な展覧会や調査研究、人材育成などには国が事業委託したい」と述べ、運営費の一部に国費を回す考えを示した。ただ、作品の多くを寄贈・寄託で集め、研究員はボランティア的な「客員研究員」を想定するなど、運営にはまだ不透明な点が多い。
委員会は今月中にセンターの基本計画をまとめ、8〜9月に建設地を含む事業プランを公募、10月に決める。運営団体の公募は秋以降。11年度のオープンを目指す。(小川雪)