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特集・STOP!9条を骨抜きにする海賊法案
 
 
  
PARTU

超党派・改憲国防族が策謀

      

派遣までの経緯――

   「海上保安庁の巡視船がソマリア沖の海賊対策に当たるのは困難だ、ということであれば、自衛隊艦艇のエスコート(護衛)は海賊対策にかなり効果があるのではないでしょうか」―昨年10月17日、衆院テロ防止特別委員会で民主党の長島昭久氏はこんな質問をして麻生首相に答弁を求めました。「こういったご提案をいただけるのは、ものすごくいいことだ」と歓迎したのは麻生首相です。
 政府与党には「降ってわいた話」でしたが、一方では、「自衛隊海外派兵恒久化」に道を開く「渡りに船」。自衛艦派遣へのスタートでした。


与党戸惑い、民主迷走
   しかし、この発想には麻生首相をはじめとする与側も最初は戸惑い気味で「もしこの案が出たら、主党は本当に党の意見をとめられるのか」ともいていますが、長島氏は「私どもの政調を通った民主の案」と明言しました。
 自衛隊派遣で考えられるのはのは、自衛隊法82条の「海上警備活動」ですが、これには、当然ながら、@護衛対象が日本関係船舶に限られる、外国船が被害を受けても守れないA武器使用も正当防衛などを除き、海賊に直接危害が加えられないB直接撃ってこないと知れば海賊には脅威ではない―などの制約がありました。 そこで「自衛艦が十分な活動をするために」 と浮かび上がってきたのが、いつでもどこでも制約なしに自衛隊が外国に出て自由に行動できるようにする「派兵恒久自由化」の新法です。

動き出した国防族
 一方、民主党は、「海賊は漫画の中の話。イメージがわかない」(平田健二参院幹事長)という声もあり ましたが、「国民新党、社民党と三党協力して麻生太郎政権を追い込んでいく過程だから、海賊対策もできる限り一致できるよう協力したい」(鳩山幹事長)という姿勢。国防族が押し切りました。
 右派勢力も11月13日には日本財団が提言するなど動き始めました。
 自民党の中谷元、民主党ても守れない武器使用もの前原誠司議員ら「新世紀の安全保障体制を確立する若手議員の会」は11月18日に麻生首相に、自衛艦派遣を要請。首相は「日本の船舶が海賊に襲われたりば海賊に人質になってからでは遅い。早急に対策を検討しなければならない」と答え、浜田防衛相に検討を速めるよう指示しました。
 ことしに入って1月7日の自民、公明の政策責任者会議では、自民党の保利耕輔政調会長が「日本の船団が海賊に襲撃され物資輸送上の の大問題になっている。新法の制定を議論したい」と述べ、公明党側も同意。「与党海賊対策等に関するプロジェクトチーム」の設置を決めました。
 麻生首相は同日、記者団に「日本人が乗っている船が捕まる確率は極めて高い。何ができるか検討するのは国民の財産を守る上で大事なこと」と強調しています。

PTが調査へ
 与党プロジェクトチームは1月9日初会合。自民・中谷元、公明・佐藤茂樹両氏を共同座長に選出し、@現行自衛隊法の海上警備行動に基づく派遣A海賊行為対処法案(海賊新法)―の両面で進めることを確認しました。  2月8日には、防衛省が護衛艦とP3C哨戒機が活動するため、港湾、空港施設や食糧の確保先など、活動拠点の決定に向けて、現 地の情報を収集するため、アデン湾周辺のジブチ、イエメン、オマーンや、米海軍第5艦隊司令部があるバーレーンに向け、調査チー ムが出発。与党のプロジェクトチーム調査団も、英国、エチオピア、ジブチ、バーレーン、ドバイなどを訪問し、政府や軍関係者と会談し、準備を進めました。
 3月14日、海ま上自た隊の護衛艦「さざなみ」と「さみだれ」は、憲法的な位置づけも、武器使用の原則も全く明らかにされないまま広島県呉港を出航、ソマリアに向かいました。

違憲の「威嚇」活動も
「海上警備行動」としての行動でありながら、海上保安官8人が乗り込み、ソマリア沖のアデン湾も、能登半島沖の日本海も同じ位置づけになりました。
 2隻の自衛艦は3月30日は現地に到着。さっそく、船団を護衛したほか、2週間の間に3回にわたり、シンガポール船籍のタンカ―やマルタの商船などを警護、大音響発生装置やサーチライトで威嚇したり、搭載ヘリが旋回したりして追い払っています。  海上警備活動ではできない外国船の保護は、何と気象状況や海難事故による遭難に対応、「他の船舶の遭難を知ったときは、人命救 助に必要な手段を取る」ことを決めた船員法14条を使いました。そうなれば外国船も「援助」は義務。紛争にも巻き込まれます。

ところで海賊って何だ?
軍事力では解決しない

 「ソマリア海賊」とは一体なんでしょうか。二〇〇八年のソマリア沖の海賊事件は百件を超え、国連によれば、獲得した身代金は  110億円に達した、とされています。
 ソマリアが無政府状態になっていることはよく知られていますが、ソマリア海賊とは何かについて、二つの側面が指摘されています。一つは「外国漁船に漁場を奪われた貧しい漁民」ですが、もう一つは「コーストガード」を自称する「プロの犯罪集団」の側面です。自称「コーストガードとは、地元の権力の資金源でソマリア沖で遠洋漁業ををしている他国の漁船を密漁だと摘発し、「罰金」を徴収します。 英国のセキュリティ会社のノウハウで、このコーストガード出身者が身代金目的の海賊になり、小型武器や麻薬のシンジケートとも関わっているというのです。

沿岸国に協力を
 獨協大学の竹田いさみ教授は、雑誌「世界」3月号で「ソマリア海賊への緊急措置として国連は、海賊を制圧するために加盟国へ武力の行使を容認したが、これはあくまで応急措置や対症療法」「身代金目的の海賊行為はソマリア人にとって巨大ビジネス」と指摘。 、対策として、「ソマリア周辺国のイエメン、オマーン、ケニアなどの力を借りて、海賊対策を長期に、しかも忍耐強く行う以外にはない」「海上保安庁などがJICA (国際協力機構)と連携して、ソマリア周辺国のコーストガードを育成する技術協力を行うこと」などを提案しています。
  「世界中の海軍の艦船をソマリア沖に集めても問題は解決しない」―というのは米国防総省のモレル報道官の言葉です。

無限定、無期限の恒久法
危害射撃、船体射撃

  「世界の海の憲兵」狙うインチキ修正の動きも
   政府与党は3月14日、「改組族対処法案」正式には「海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律案」を国会に提出。わず か6日間の審議で、4月23日には衆院で採決を強行、自民、公明の賛成多数で可決、参院に送りました。
 民主党は国会の事前承認などを内容とする修正案を提出、自民党との「協議」しましたがまとまらず、反対に回りました。しかし、 本質的に「反対」を貫く姿勢は見せていません。
 法案はわずか13条ですが、@「経済利権の擁護」を掲げる一方で「海上における公共の安全と秩序の維持」を掲げている A保護の対象となる船舶に一切限定がないB停船命令に従わない船舶に接近する海賊船を停船させる船体射撃を認めるC海賊対処命令の発令は防衛省が首相の承認を得て行い、国会の承認は不要D「ソマリア沖」の限定や「施行期間」の定めは一切ない―などが特徴です。

一段と進む海外活動
 特に問題なのは、この法案の発想の中に、憲法9条が全く無視され、米軍との共同作戦や、先制攻撃が当然視されていることです。  これまで自衛隊の海外派遣は、武力紛争が終わった後のPKO(平和維持活動)だったり戦争協力の批判はあっても、給油や輸送で、自ら攻撃する事態はありませんでした。
 しかし今回は海賊船らしい船に停戦を命じ、応じなければ船体射撃もできる、他国の船を守るためでも同様のことが可能になり、一段と進みました。「武力の行使」や「交戦権の発動」に当たる可能性も大きいのです。
 たとえば、これまで「停戦させるための船体射撃」は「内海または領海」、あるいは「わが国周辺の公海」にだけに認められていたの ですが、これが世界中の海に広げられ、防衛省の判断で、いつでもどこでも、簡単に派遣を決めることができるようになっています。

危険な欠陥法案
 この法案は、海賊の取り締まりを「警察活動」として実施しますが、そのために必要な事柄が曖昧だったり、決められていなかったりする「欠陥法案」です。
 第一に、「海賊」の定義は、「私的目的」で「暴行、脅迫して船舶を強取すること」など7項目を決めていますが、この「構成要件」 は非常に広範であいまい。国連海洋法条約の「シージャック」まで含めており、この条約と抵触します。
 そしてここで「海賊罪」が決められる結果、海賊罪の嫌疑をかけられた不審船は抵抗、逃亡を理由として危害射撃されかねず、常に過剰対応や誤射の危険が出てきます。「つきまとい」や「接近」も海賊行為としたため、これによる船体射撃の危険もあります。
 そして刑事司法手続きでは当然の被疑者や押収物品についての規定が全くないことも、法案が欠陥法案であることを示しています。

世界の警察官になる?
 もう一つ付け加えましょう。この法案が「海上輸送用船舶の安全と海上における治安維持」と「経済利権の擁護」を全面に出し、 「世界の海の警察官」となり「世界の海上覇権」の確保を正面から目指した姿勢を隠していない問題です。
 こうした中で国会内ではまだ、「修正」をまとめようとする動きがあります。既成事実として、海上警備活動で出した自衛艦を呼び戻すのではなく、法的に追認し、世界中に自衛隊が派遣でき、米軍とともに、制約なく活動できるようにする― 。そんな動きを認めるわけにはいきません。

専守防衛、海外派遣禁止
集団的自衛権禁止など
九条の原則を次々破壊

   日本国憲法は、第9条で「武力の行使、武力による威嚇と戦争の放棄」を決め、「陸海空軍その他の戦力」の保持と、「交戦権」を認 めないことを決めました。しかし、朝鮮戦争を契機に警察予備隊が創られ、保安隊、自衛隊へと「成長」すると、憲法との矛盾が問題になりました。
 これに対し政府は、いくつかの「原則」を決めることで、この矛盾を克服してきました。「専守防衛」「非核3原則」「集団的自衛権 の否定」「海外派遣の禁止」「武器輸出の禁止」「文民統制」などがそれです。  この結果、憲法9条は国際的にも評価され、「日米軍事同盟」の強化・再編の中でも、戦争に巻き込まれず、外国の兵士を一人も殺すことがなかったのです。

動き出した改憲
 ところが、結党以来「自主憲法制定」を綱領に掲げる自民党は、2005年10月、自衛隊を軍隊にし、軍事法廷を設け、人権より も国家とつながる公益や公の秩序を強調する「憲法改正草案」を発表しました。
 同時に、日米協議による米軍と自衛隊の「再編計画」がスタート。「日米同盟― 未来のための変革と再編」(「中間報告」)と「再編実 現のための日米のロードマップ」(「最終報告」)は、これらの原則もなし崩しに破壊しようとしています。

九条を守ろう
 一方、2004年6月、加藤周一、鶴見俊輔、大江健三郎、井上ひさし、三木睦子氏ら9人による「九条の会」のアピールは、全国に 広がりました。既に七二九四の会が活動しています。
 昨年4月17日名古屋高裁は、自衛隊のイラク派遣について、「派遣先は戦闘地域であり、後方支援は先頭と密接不可分」と違憲判決を下しました。
 昨年5月の「9条世界会議」では、改めて「不戦・非武装」の日本国憲法がこれからの世界の理念として高い評価を受けました。  戦争も辞さず自分たちの利益を図ろうとする力と、平和と憲法を守ろうという力のせめぎあいは、ますます激しく、私たちの結集が 必要になっています。

  『合同ニュース』第一号より転載
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            PARTT
”進む戦争できる国づくり”
海外派兵の恒久化に反対を!


 衆院本会議は4月23日、自衛隊を海外に派遣する「海賊対処法案」を賛成多数で可決、参議院に送付しました。政府・与党はことし3月、「ソマリア海賊退治」を名目に、法律を拡大解釈し、ほとんど議論もないまま日本から1万2千キロ離れたアフリカ沖のアデン湾に自衛艦を派遣しました。
 これを既成事実に、「自衛隊海外派兵恒久法」であるこの法案を国会に提出、わずか6日間の審議で衆院を強行通過させたのです。
 「海賊対処」といいながら、この法律には、場所の制限も期間の限定もなく、武器使用も拡大されます。さらに、政府はこれを口実に、ジブチ共和国政府と地位協定を締結。自衛隊基地を建設、駐留を恒久化し、アラブ、アフリカへの軍事進出の足掛かりをつくっています。
 政府・与党は参議院でも審議を急ぎ、衆院再議決で成立させたい意向です。将来に禍根を残す憲法違反の「自衛隊海外派兵恒久法」に反対しましょう。

いつでもどこでも武力行使

 今回の「海賊法案」の特徴は、これまでの自衛隊海外派遣と違って、行動地域も、期間も限定しない無制限な法案であることです。自衛隊の海外派遣は、1991年のPKO派遣に始まり、「9・11」以後、特別措置法で実施されてきました。「テロ特措法」とそれに続く「給油法」で、インド洋に自衛艦を「常駐」させ、米軍などにガソリンを提供し続けていますし、「イラク特措法」でイラク のサマワに陸上自衛隊を送り、航空自衛隊は資材や米兵の輸送活動をしました。
ところが今回の法案には「ソマリア海賊」の「ソ」の字もなければ、1年とか2年とかの制限もなく、国会の承認すら必要ないまま自衛隊を海外に派遣することができるようになっています。
これは、戦後の日本が大切に守ってきた「戦争放棄」「戦力不保持」「交戦権の否認」という憲法九条を骨抜きにし、自衛隊の海外派兵を恒久化しようとするものです。米軍の世界戦略の一翼を担い「大国日本」を目指す冷戦思考そのもの。かつての「軍事国家・日本」に引き戻そうとするものです。
 既に自衛艦は、大音響で「海賊」を「威嚇」して追い払ったりしています。武器による「威嚇射撃」は九条が禁じる「武力による威嚇」そのものです。
 そして特に問題なのは、一方で法案を国会に提出し審議を求めながら、既成事実として、なし崩しに自衛艦を派遣し、基地設営や哨戒機派遣まで進めようとしていることです。こんなことなら、法律は要りません。「なし崩し派兵」を許すわけには行きません。

なし崩しに海外へ 米軍と共同行動

アフリカに永久基地
 政府・与党は4月3日、アフリカ東海岸の小国、ジブチ共和国と地位協定を締結、日本が米軍と結んでいるような協定を同国と結んだほか、見返りに、8億6千万円を供与、「ラジオ・テレビ放送局番組作成機材整備計画」として、9億2千5百万円を送ることを決めました  一方、浜田防衛相は4月17日、海上自衛隊の哨戒機P3Cを、拠点のジブチ空港に派遣する準備命令を発令、駐機場を警護する目的で陸上自衛隊も派遣することを決めました。派遣先国の主権の及ぶ一般地域の治安目的で自衛隊が派遣されるのは初めてです。
哨戒機は2機で、アデン湾上空を飛行し、船舶向けに情報を提供しますが、自衛隊のP3Cが海外で実任務に当たることも初めて。警護の陸上自衛隊は、小銃、機関銃のほか、イラク同様、軽装甲機動車の使用も検討しています。かつて日本は、中国東北部に関東軍を置き、なし崩し的に中国侵略を進めました。海外に基地を展開し覇権国家として振る舞う―、まさか日本は、アフリカで「覇権」を求めるわけではないでしょう。しかし、その代わり、現地では米軍と一緒に行動し、共同活動を実施します。「文民統制」どころか、国会審議の最中に、既成事実を進める自衛隊に、旧軍の黒い記憶が蘇ってくるのは確かです。

要衝の地、米軍も駐留ジブチ共和国
 アフリカ東海岸、ソマリアとエリトリアに挟まれた小国。もともと、19世紀後半、フランス人レセップスがスエズ運河の建設を始めた際、現在のジブチ市の反対側にあるタジュラ湾のオボック港を租借、周辺に勢力を拡大し、植民地フランス領ソマリランドを造ったことに始まりました。やがて港町ジブチが開かれ、エチオピアと結ぶ鉄道が建設され、スエズ運河に通じる紅海の入口の要衝の地として重視されました。戦後独立し、人口は80万、90%以上がイスラム教徒。古くからのフランス軍のほか、「9・1」以降、米、独、スペイン軍なども駐留。「基地の町」でもあります。

憲法忘れたメディア

海賊で世論誘導?
 「海賊法案、今国会成立の見通し」―衆議院で自民党が採決を強行し、民主党もこれを容認して、海賊対処法案が衆院を通過したことを報じた4月24日、新聞各紙は一斉にこう「見通し」を報じました。
 今回、ソマリア海賊について、自衛隊派遣論が登場してから、派遣が具体化され、法案の衆院通過に至るまで、メディアはいくつかの例外はありますが、問題点を大きく報ずることはなく、「協力」ないし「傍観」に終始しました。

政局と世論に流され…
 端的に指摘すれば、この要因となるのは、「海賊問題は重要。日本も対応すべきだ」という「誘導された世論」と、「二大政党」「政権交代」論による無意識的な民主党への傾斜です。
 昨年秋、麻生内閣の成立は、選挙の洗礼を得ないままの「政権たらい回し」で批判が高まり、小沢一郎氏が率いる民主党が国民の期待を集めました。メディアも「政権交代」をもてはやし、世論調査では、政党は「自民か民社か」、首相にふさわしいのは「麻生か小沢か」と、政党も2つ、首相候補も2人しかいないような聞き方でムード創りに一役買いました。
 報道は、いつ選挙か、どちらが有利か、に焦点が集まり、ソマリア海賊問題は「海賊対策即自衛隊」の方向に走りました。そこには、現地の状況についての正確な分析や、日本はどう行動すべきか、自衛隊派遣に問題ないのか、などはほとんど論じられませんでした。 その結果、2月24日の毎日新聞の調査では、自衛隊のソマリア派遣に、賛成が47%、反対は42.%。拮抗したものの、派遣賛成が多かったのです。3月14日内閣府が発表した世論調査でも、自衛隊による海賊対策を肯定的に考えている人は63・2%、否定的な見方は29・1%でした。

本当にやむをえないか
 新聞協会報によれば、2月段階で新聞は、28本の社説、論説がこの問題を取り上げましたが、論調は割れたものの「ほとんどが国会に対し新法制定を急ぐように要請」するという問題ある姿勢でした。
 「現行法に基づく海自派遣は、迅速性を優先した『応急措置』と言える」とした読売新聞、「海賊新法制定には党派を超えた合意形成が不可欠」とした産経新聞は言うに及ばずですが、朝日新聞も「海賊行為からの護衛は、憲法が禁じる海外での武力行使にはあたらない」「事態の深刻さを考えれば、護衛艦の派遣はやむを得ない判断」とし、毎日も「特例措置」としながら「海保の対応が困難ということであれば、海自派遣は有効な方策の一つ」としています。
 しかし、中日・東京新聞は「傍観しているわけにはいかないと、海賊対策を急ぐのは理解できる」としながら「アフリカ方面まで派遣できるなら、活動範囲は際限がなくなってしまう」「不測の事態にどう臨むのか、その詰めが生煮えのまま、防衛省に判断を丸投げするのは疑問」としました。

役割問われるメディア
 琉球新報は「憲法を軽んじていないか。軍事組織の海外派遣は、慎重の上にも慎重を期さなければならない重大な問題だ。場当たり的な対応や乱暴な議論で済まされる筋合いの話ではない」「国会審議なき自衛隊派遣は、議会制民主主義のみならず法治国家としての根底を揺るがしかねない」と主張。「週刊文春」4月16日号「新聞不信」も、「『軍靴の足音』を聞き逃した新 聞」と題して、各紙の報道を批判しました。
 メディアが世論とどのような関係にあるべきか、は難しい問題です。しかし、「ジャーナリズムは国という船の水先案内人」(ピューリッツァー)という言葉もある通り、世論の方向に警鐘を鳴らし、問題提起するのも重要な役割です。「国の在り方」を決める自衛隊派遣問題に、メディアの姿勢が問われています。

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特集・G8サミットと市民メディア“洞爺湖サミット”で市民メディアが活躍
どんな意義があったのか?


安田 幸弘

●G8メディアネットワークの経緯

 2007年6月、ドイツのロストックで開かれたG8サミットの後、2008年7月に日本で開催されるG8サミットに 対する行動についての話し合いが始まった。
 議論の中では、情報発信が「反G8」の行動における重要性が指摘された。
 情報発信のグループは、「サミット」の外で行われる現地のさまざまな行動を外部に伝えるとともに、警備の過 程での重大な人権侵害をアピールする「メディア」としての機能はもちろんだが、現地の行動に情報を提供する 「情報センター」的な役割も期待されている。
 G8でのメディア活動を組織するために、これまで国際会議での対抗メディアの経験を持つ数人のメディア活 動家が7月頃から洞爺湖G8でのメディア活動のコンセプト作りを始めた。

 目標となったのは、ロストックG8で独立メディアが設置したような情報発信の拠点としてのメディアセンターの 開設、ロストックでの行動を生き生きと伝えた動画サイトの設置、そしてG8に関する情報を発信するメディア活 動家たちの組織化である。
 しかし、日本の市民メディア、独立メディアの状況は、ヨーロッパとは大きく異なっている。ヨーロッパでは、 IndyMediaをはじめとする多くのメディア運動が存在し、また、G8参加国の半分がヨーロッパに存在することか ら、G8への関心も高い。
 それに対して、日本での独立メディアの活動は決して活発とは言えず、必ずしも現在の米国式グローバリズ ムの問題点に対する関心も低い。このような状況で、単にロストックの経験をなぞったとしても、成功の見込み は薄いと思われた。

 しかし方向性は明確だった。国際的な独立メディアは、多様な視点を包括するために脱中心的なネットワーク として運営されることが多い。日本のG8でのメディア活動も、国際的な独立メディア運動の一環として、また、 日本におけるさまざまな方向性・水準を持つメディアグループを包括するために、ネットワーク的な行動原理を 基本とすることに異論はなかった。賛否や立場がどうであれ、「G8」をキーワードに、幅広くメディア活動家に呼 び掛けていくことになった。
 特に広範な議題が扱われるG8では、情報発信の分野でも多様な視点を持つ発信者が必要であるという認 識、市民的な多様性こそが既存の官制メディア、商業メディアとの違いであるという認識も共有された。

 2007年8月ごろから「G8オルタナティブメディア準備会」として定期的に議論を重ね、何回かの小規模なワー クショップ開催の中で、活動グループの「ユニット」が形成される。10月には大枠のコンセプトが固められるとと もに「G8メディアネットワーク」の名前が決まり、ウェブサイトを開設。またビデオ、ラジオ、テキスト、翻訳など、 情報発信に必要になる役割分担の基礎を構築するとともに、北海道のメディアグループとのコンタクトを開始、 2008年に入りメディアセンター開設に向けた動きが本格化する。
 3月にはビデオユニットによる動画共有サイト「G8MN TV」をスタートさせ、北海道では市民メディアセンター設 立準備会をコアに、行政との施設貸借交渉が始まる。同時にファンド獲得のための活動を開始、地球環境財団、 トヨタ財団などをターゲットに1千万規模のファンドレイズを行った。

 プラットフォームの整備に対し、コンテンツ的な準備は遅れ、特に国際的な対応が始められたのは6月になっ てからだった。原因は、国際的なメディア活動家の圧倒的な不足だ。G8メディアネットワークのコアメンバーは、 プラットフォームの準備に時間を取られ、海外の活動家への対応や、国際的な協力の枠組みをじっくり構築す るだけの余裕がなかった。また、メディア以外の運動の分野でも、必ずしも十分に海外への情報発信ができて いたとは言えない。
 しかし、国内的にはG8メディアネットワークや各ユニットが個別に準備を積み重ねてきた。法的な問題に対応 するための会議や、ボランティアの市民記者に対する「市民記者入門」のような会議も開かれ、これらの準備は 実際の活動の場面でおおいに役立ったようだ。

 こうしてふだんはあまりコンタクトのない国内の多くのメディア活動家が一堂に集まり、活動内容やコンセプト の違いを越えてメディアセンターの開設に協力することができ、6月下旬に開催したボランティア説明会には多 くのボランティアが集まり、札幌に3個所のメディアセンターを開設することができた。
 G8期間中には、これらのプラットフォームから日本はもちろん、海外のメディア活動家も多くの情報を発信し、 「もうひとつの洞爺湖G8」を伝えたのである。

●チャレンジ

・メディアグループ間のコミュニケーションや協力関係が希薄。
・孤立したメディアグループを結び付ける努力が必要。
・小規模なメディア活動家グループだけでは、G8に対応できない。
・幅広い議題に対応するための多様なメディア活動の必要性。
・国際的な視野を持つメディア活動が少ない。
・拠点確保、活動のための資金の問題。
・言語の問題。
・メディア運動に対する認識や合意の不足。

●グローバリズムとメディアについて

 「独立メディア」の活動は近年、国際的な会議では必ず大きな役割を果たしている。

 ・1995年の国連リオ会議:NGOの情報発信が評価
 ・1999年12月のシアトルWTO:「インディメディア」の活躍


 背景はインターネットによるグローバルなコミュニケーション。
 国境を越え、世界中の人々が情報を交換できるようになった。
 新自由主義的グローバリゼーションが産み出した民衆のグローバリゼーションでもある。

 19世紀に蒸気機関車が開いた産業の世界化が労働者の国際的な連帯の道具になったように、21世紀のイ ンターネットによるメディアはグローバルな民衆の連帯の道具になっている。
 メディアは国際的な行動を媒介し、メディアは民衆の抵抗と国際連帯を世界規模に広げる。

●メディアの行動原理

 ある出来事がどれだけ社会に大きな変化をもたらすかによって報道の優先順位が決まる。
 G8サミットは、社会を大きく動かすため、サミットについては詳しく報道される。
 G8サミットのようなイベントの中で報道の優先順位を獲得するためには、大事件を起す必要がある。小さな 事件は伝えられず、伝えられない出来事は、存在しないに等しい。

 このような既成のメディアの特性に対して、オルタナティブメディアは「オルタナティブ」な価値に基づいて報道 の優先順位を決める。それは社会の大きな変動を予告する。

 また、運動の一環としてのメディアは、社会運動を「存在させる」ための情報発信活動を行う。
 さらに、記者の個人的な興味を「ニュースバリュー」の根拠とする市民メディアがある。

●市民メディアとしてのG8メディアネットワーク

 社会を構成する「政府セクター」、「産業セクター」、「市民セクター」は、それぞれのメディアを持つ。
 「官制メディア」、「商業メディア」以外は、「市民メディア」。職業的なメディア従事者以外の人々によるメディア を総称する。
 誰もが認める定義は存在しないが、「市民メディア」「オルタナティブ・メディア」について、それぞれの特徴をあ げる。

 市民メディアは次のような要素を持つ:

新しい表現の形式
イベントの能動的な聴衆
表現・コミュニケーションの楽しみ
多様な興味に対応する多様な情報の発信
政治的主張は二次的
非営利的だが営利活動を否定しない
 市民メディアは、メディア技術の発達による発信手段の大衆化により、市民自らが制作したコンテンツを伝え るメディアといえる。

 オルタナティブ・メディアは次のような要素を持つ:

既成のメディアへの批判
政治色が強い
少数者の立場の強調
反商業的傾向
意図的な偏向が強い
 オルタナティブ・メディアは市民メディアとオーバーラップする部分があるものの、ある種のイデオロギー的な 運動の側面を持つ。イデオロギーの内容はそれぞれの主体により多様である。
 なお現在では独立メディアという概念は、オルタナティブ・メディアとほぼ同じと考えてよい。自己アイデンティ ティとして「独立」を使うか、「代案」を使うかの違いである。

 欧米では、G8やWTOなどの国際会議でのメディア活動は、主にオルタナティブ・メディア陣営によって主導さ れる。米国流のグローバリズムと多国籍メディア資本との関係(グローバリズムの宣伝部隊としてのメディア、ま た、グローバリズムによる利益の享受者としてのメディアなど)が、必然的に運動サイドのメディアをオルタナティ ブ側に押しやるのである。

 G8メディアネットワークの内部では、「オルタナティブ」、「市民」のどちらをアイデンティティとすべきかで多くの 議論があったが、G8メディアネットワークは、主に行政との対応(施設の提供を求める)という文脈で「市民メディ ア」としてのアイデンティティを掲げた。
 ただし、欧米ではオルタナティブ・メディア(独立メディア)陣営が行政の協力を獲得するケースも多い。日本国 内のオルタナティブ・メディア活動が十分な社会的認知を受けていないためでもある。

●メディアのネットワーク

 G8メディアネットワークは、多くの国際的な独立メディアのネットワークにならい、既存のピラミッド型の組織で はなく、中心を持たない自律・分散型のネットワーク組織として活動した。
 ネットワークは多様なメディアをつなぎ、それぞれの独自の活動を保証する。
 少数で構成される意思決定機関が全体の動きを決定することはない。
 全体の意思決定が必要な場合は、メーリングリスト、全体会などでの「ラフ・コンセンサス」によって行われる。
 実務的な運営は、少数の実行委員によって行われるが、ここでの権限はプラットフォームの構築や管理など に限られ、ネットワーク全体のポリシーの決定には特別な権限は持たない。
 実際の情報発信の活動や、情報発信におけるポリシーなどの策定は、個々のネットワーク参加団体が独自 に行うか、「ユニット」の中での会議によって行われる。

●評価

 G8メディアネットワークの当初の目的は、メディアセンター設置、日本国内のメディアグループのネットワーク の構築、国際的なメディア運動との連携だった。
 これらの点については、一応当初の目的を達成したと言えるため、G8メディアネットワークの活動は成功した と言える。

 しかし、その内容に立ち入れば、不十分な点は多い。
 3個所に分散したメディアセンターは、十分な連携が取れず、また、参加したメディア活動家は当初の予想よ りも少なかった。
 メディアグループのネットワーキングという点でも、十分にメディアグループをカバーできたとは言えない。理 由のひとつには、特に市民メディア陣営にとってG8の議題はなじまないもなだったという点があげられるだろう。
 また国際的なメディア運動との連携についても、特に事前の準備不足は否めない。通常なら、数ヵ月かけて 電子メールなどで企画を立て、1週間ほど前にメディア活動家が集まって実際の準備を進めることになる。その ため、海外のメディア活動家との間で経験やノウハウなどの交換、新しい試みなどの活動は限られたものだっ た。

 メディア活動に関する情報交換は、一般にはさまざまな技術的な試みや内容面での企画、ポリシー的な議論 などが含まれる。もちろん、これは国際的な関係だけのものではなく、国内のメディアグループの間でも情報の 交換・共有が行われなければならない。国際会議でのメディアセンターは、メディアグループが新しい知識を得 て、新しい企画を試す場でもある。

 特に日本のメディアグループは、IT技術やメディア活動に関するフィロソフィという点で、欧米のメディア活動 に大きく遅れを取っている。
 今回のメディアセンターは、知識や情報交換機能については個別に行われていただけで、組織的な取り組み ができなかったのは残念な点だ。
 ネットワークという組織形態を取ったことは、G8メディアネットワークの成功の一因と評価したい。反G8ばか りでなく、G8に対して肯定的な市民記者の参加もあり、活動に広がりを与えた。また、それぞれのユニットの役 割分担、独自のガバナンスなどは、大きなプロジェクトで問題になる組織運営の問題を軽減することに役立った と思う。

 反面、多くの人々、特に既成のメディアに近い人々の間には、「メディアのネットワーク」、「プラットフォームとし てのネットワーク」というコンセプトそのものが理解されていないようにも感じられた。
 G8メディアネットワークにおいては、「何を伝えるか」、「メディアとしてのスタンスやポリシー」などは重要では ない。それらは、ネットワークに参加するメディアグループや市民記者に投げ掛けられるべき問いであり、G8メ ディアネットワークに「何を伝えるのか」を問うことはできないのである。

 また、「市民メディア」というアイデンティティを明確にするために、当初、極力「オルタナティブ・メディア」的な 主張を抑制せざるを得ず、オルタナティブ・メディア側から不満の声が上がるなどもあった。

 G8メディアネットワークの成功に大きな寄与をしたのは、資金獲得だった。
 施設の使用料、スタッフの交通費、機材のレンタルなど、莫大な費用がかかるメディアセンターを運営すること ができたのは、ファンドの獲得なしでは不可能だっただろう。
 日本のメディア運動の中では、最初からファンドレイジングを諦め、限られた予算により貧弱な活動しかできな いというケースは多い。十分な資金を用意することができれば、ある程度の成果を上げられるのである。
 ファンドレイズの努力の重要性は強調しておきたい。

●結論

 これだけのメディアグループが集まり、1つの対象に向けて共同の活動をすることは、日本では初めての経験 だ。当初は、はたしてそんなことが可能だろうかと思うこともあった。
 国際的なメディア活動の経験に乏しい日本のメディアグループがここまでやり遂げたのは、率直に言って驚く べき成果を上げたと言っても差し支えない。
 サミットの後も、ここで形成されたネットワークを通じ、メディアグループの間でのコミュニケーションが続いてい る。そして、多くのメディアグループが今回の経験から多くのことを学んだ。

 今回の活動だけを取り上げて成果を語ることはできないだろう。目に見えない今回の経験を、今後の日本の メディア運動の中で十分に生かすことができるかどうかが重要ではないだろうか。

やすだ・ゆきひろ: ゆいネットワーク発起人、レイバーネットジャパン副代表。フリーランスのテクニカルライターとして、今回のメディアセンターの開設、運営では中心役割を担う。
・IT(情報技術)分野の単行本の執筆、雑誌に技術解説記事を寄稿。また、非営利組織(NPO)団体を対象としたシステムやインターネットサイトの開発・運営・コンサルタンティングを行っています。著書に『Zopeガイド』( 毎日コミュニケーションズ)、『Apacheアプリケーションサイト構築』(オーム社)、『市民インターネット入門』(岩波ブックレット433 )ほか多数。
この記事はゆいネットワーク・連合通信社共同企画の講演会「G8サミットと市民メディア」(8月29日(金))のレジュメである。

 
  
“9条が社会、メディアを動かす”を実感
  ――「9条世界会議」分科会から


  「この人波、この熱気、目の輝き 9条の力は凄い!」――5月4日正午前、「9条世界会議」初日の千葉幕張メッセ会場前に立った第一印象である。その時、翌5日の分科会「憲法九条とメディア」(主催:韓国記者協会・日本ジャーナリスト会議・マスコミ関連九条の会連絡会)の成功を確信した。
 
◎あいさつするキム・キュンホ韓国記者協会会長(左端)

  さて、5日午後の分科会―当初の想定=参加者約100人を直前に、会場満杯160人に訂正して、パネリストとスタッフ用以外のテーブルを運び出し、全員椅子席に切り換えた。それでも足りず、パネリストのテーブルを目一杯下げて、床・通路に座り、壁際の立ち見と、200人を超える「満員札止め」となった。市民メディアや韓国メディアも取材に来ていた。
 会場に熱気が充満する中、コーディネーターの小中陽太郎氏(作家)が開会を宣言、主催者でもある韓国記者協会のキム・キュンホ会長が「昨日、全体集会に参加し、いま世界にとって平和と憲法9条の重要性がますます強くなっていると感じた。この後、私たちは北朝鮮を訪問し、両国記者同士が話し合うが、今回の経験を活かして、半島における武力対立を解消する意思を確認、皆さんの熱い思いも伝えたい」と挨拶した。

  パネリストのトップバッターは、同じく韓国記者協会の元会長・現顧問の李成春氏。記者として長年、日本駐在経験のある大ベテラン――「現憲法と明治憲法の違いは、国民主権・平和・人権の三つ。GHQより前に、中江兆民、吉野作造、矢内原忠雄たち先人の精神が流れ込んだもの。私も昨日の全体集会に参加し、『9条は日本だけのものではなく、世界の憲法になるべきだ』と確信した。日本の政府は、過去の植民地支配を反省、謝罪しながら改憲策動するから、アジア各国から信用されない。9条を誇るべきなのに、一部のマスコミは政府の立場に近い」と矛盾を指摘した。韓国記者協会は、60年代から70年代、独裁政権の弾圧に抗して「言論の自由」を闘いとる過程で結成された組織。日本の大手マスコミ人に対する批判と期待は、それだけに重く強い。
 通訳は慶応大学研究所研究員の李洪千氏、ハングルから日本語、日本語からハングルへと、八面六臂の活躍。国際シンポジウムの影の立役者だった。
 会場から溢れ出た長蛇の列を横目に、韓国からの客人たちをメーン会場に押し込み、その後の推移を見守る。どうやら1万2000人ほどが入場(7000人収容)、約3000人が場外での集会や展示ブースを回って帰途についたという。
(阿部裕=記事/清水雅彦=撮影:JCJ会員)

   
・写真上:通訳者の李洪千氏と李元会長ら(左から)
・写真下:床に座り込む参加者、入りきれない人も出た


*上記の記事はさる5月4日から6日まで開催された「9条世界会議」(千葉・幕張メッセ)で分科会、自主企画のイベントが集中した5日に、韓国記者協会、日本ジャーナリスト会議、マスコミ関連9条の会連絡会が主催したシンポジウム「憲法9条とメディア」のリポートである。


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