静かな夜に雨が降る


☆ときめきトライアル21☆
星に願いを/神尾と桃杏


誰がどれだけ辛いかなんて話をする気は毛頭ない。どちらが苦しいかなんて主張は無意味だろ。優しい先輩、良い環境。羨みも妬みもしない。俺には俺の場所があったから。あの人がいたから。

公園のストリートテニスコートは彼女の城だ。今日の俺はそれを拝借している。彼女にお伺いを立てて使わせてもらっている。みんなそうだよ。だって彼女はここの女王様なんだから。管理しているのはもちろん区の人だけど、そういうことじゃなくて、ここは彼女の居場所だから、だからあの人は来ない。あの人は彼女の庭に入れない。あっという間に奪ってしまうから来られない。彼女の大切なものを彼女の所有物のまま留めておくためには、あの人はここに来てはいけない。

今日は桃城が打ちに来ている。こんなところで油を売っている暇があったら他のことをしろよ。だってお前が来ると彼女が嬉しそうに笑うんだ。誰に対してもそうだけど、それとは違う種類の匂い。俺には分かる。常の如くきらきらの笑顔に、甘い媚びが混じる瞬間の色香。それを間近で見てしまうこの苦しさとときめきがお前に分かるか。分かる、か。なんせお前はそれを真正面で受け止めているんだもんな、分からないはずがない。

お前はずっとそうやって輝いていればいいさ。俺の命はお前よりずっと短い。でも完全燃焼させてやるから。お前は長距離、俺は短距離。花火みたいに走り抜いて死ぬから。筋肉を縮めて生きるから。全力ダッシュで死んでやる。そんな風に思っていたのにいつの間にか夏は過ぎて秋風の吹く季節になった。俺の熱はどこかに行って、あんなに燃え盛っていた炎は吹き消されて、まさしく打ち上げられた花火みたいにパーンと無くなってしまった。
ゼロから始めることがどんなに難しいか、あの人がいなくてようやく悟る。俺はあの人が不動峰にきてからずっと魔法をかけられたみたいに夢中で体を投げうってテニスに打ち込んだけれど、やはりそれは魔法でしかなかったのだろうか。夢から醒めてしまった子どもはもう舞台から退くしかなくて、もうあんなに何かを追いかけることは出来ないのだろうか。

「後輩入ってきたのか」

ゲームを終えたお前が涼しい顔で隣に座る。高校生と組んで試合に臨む彼女に爽やかな笑顔で手を振る姿が憎い。

「ああ、二、三人。辞められたら困るから、すげえ大事」
「なるほど」

大げさにならない程度に驚いてみせるから、こちらとしては話しやすい。楽だ。楽だからこそ嫌いだ。なんだって俺にはない能力を見せつけられる度に苦しい。

「後輩、貴重だぜ。むしろ俺らが気を遣うっていうか、深司はまあ相変わらずだけど」
「だろうなあ」

はは、と笑う反応の一つさえこぼさないように神経を張る。彼女を目で追いながら、耳は隣に座る男の情報をキャッチしようとびんびんに働く。

「雑務も俺らが率先してやってる感じ。橘さんがそういう人だったから。仕事は上の人間がやって、下になるべく負担かけないようにって」
「体育会系っぽくねえな」
「だろ、そういう人なんだよ。だからいつも忙しそうにしてた。不満なんて聞いたことねえけど、時々つかれたってため息つくことはあったよ。んで、俺とかがぎゃあぎゃあ騒いで、楽しかった」
「うん」
「なんか寂しいよ。俺、橘さん大好きだもん」

隣で口を開く気配がしたけど、俺は何も言わせなかった。夜が俺の口を滑らかにしていた。
ライトアップされたコートで彼女がスコートを翻して踊る。俺の目は彼女の髪や、顔や、足や、腰なんかをとりあえず捉える。その内どこを見たらいいのか分からなくなる。俺は彼女のパーツのどこが一番好きで、どこを見るべきなのだろうと考えても答えは出ずに目移りする。光のなかで動く彼女はきらきらしている。夜に潜む俺の息はきっと醜い。

「そりゃあお前のとこみたいに数はいねえし、一緒にいた時間だって比べたら短いけど、やっぱりあの人すげえもん。違うもん。俺らなんかとは全然」
「俺んとこだって」

悲しい声が遮った。

「あーあやめやめ! こんなとこで沈むなよ。気張っていこうぜ」

豪快に笑って背中をたたく、そういうところが彼女の心を奪うのかもしれないと思うと物凄くムカついた。

あの人はもしかしたら知っていたのかもしれない。今の俺が死ぬほど後輩を必要としているように、俺らはあの人の生命線だったのかもしれない。だったらもっとやれることがいっぱいあったんじゃないかとか思うけど、所詮俺にそんな力はなかったと思いなおす。俺らがあの時からずっと先輩ってものの存在に忌避感を抱いていたことなんか自明の理で、だからあの人が先輩っぽくなかったのも道理なのかもしれない。なんだか申し訳ない。

僻む気持ちはないけれどベスト8と優勝ではあからさまに輝きが違って、俺にはお前がヒーローみたいに見える。でもお前は決勝戦に出なかったんだな。ウチとやった時もそうだったな。結局青学とウチが当たったのは地区大会だけだったな。
お前が部長じゃないって聞いた時は正直驚いた。お前がウチにいたらお前は部長になっていたと思う。悔しいから認めないけど、お前がウチにいたらあの人はどんな時も俺でも深司でもなくお前を選んだだろう。あの人は正しいから。強さに対して真摯だから。俺はお前に負けるつもりは毛頭ないけど、そういう話じゃなくてお前は部長に向いているぜ、俺よりも。でもマムシの方が向いていたんだな。お前とマムシ、仲の悪いライバルなんだろ。それってどんだけ辛いのよ。俺なら死ぬほど嫌だ。嫌いな奴が俺より偉い立場にいるなんて。でもそういう風に選んだんだな。選ばれたんだな。
可哀想な感じが少しして、すぐに消えた。お前にはお前の環境があって、そこに俺の価値観は関係なくて、逆も然りだ。互いが互いの場所でそれぞれ勝手に頑張るしかなくて、そういう気持ちで深呼吸をした。感情の導火線はいたる所にある。

彼女が飛び跳ねて嬉しがって、相方とハイタッチするのを忌々しい思いで見つめる。奴の掌が嫉妬の炎で焼け焦げてしまえばいい。俺の体が炭になるのが先かもしれないけど。軽快に俺のもとに帰ってくる彼女に頬が緩んだ瞬間に「ちゃんと見てた?」なんて愛らしく小首を傾げて興味と愛情をせびる相手はお前なんだから嫌になる。分かっていた、分かっていたけど、楽しそうに会話するんだもんな。ほんとうに、彼女は可愛いけれど残酷だ。

「頑張れよ」
「ああ、お前もな」

ラケットバッグを背負って笑いながら階段を降りる。彼女がお前に寄っているのはこの際気にしない。気になるけど。悔しいのでバッグを背負直して、首だけで振り返ってなるべく嫌味に見えるように口角をあげて手を振る。

「マムシによろしく」
「りょーかい」

お前は両手を上げて振って笑う。いい奴だ。隣に彼女がいなけりゃ。自転車を押しながら並んで歩く二人はカップルみたいで反吐が出る。お前の腕に手をあてる後ろ姿だけが、俺の嫌いな彼女だ。
俺はお前をいい奴だと思っているが、彼女のことがあるからお前よりマムシが好きだ。部長同士だし。

この後ふたりはどこに行くんだろう。マック? ミスド? まっすぐ帰るにしたってお前は彼女を送るだろう。ゴクトラに噛まれて死んじまえなんて馬鹿なことを、俺は夜空に真剣に願う。


2009/06/21 (Sun)



☆ときめきトライアル20☆
アデュー/柳生と仁王


柳生は日本語が嫌いだ。もちろん母国語ということだけでそれなりに愛しているし、その美しさ、芸術性の高さには惚れこんでいる。詩作は趣味であるし、言葉遊びをするだけでも十分に楽しめる。一般的な男子中学生よりずっと日本語に親しんでいる自負もある。そういうわけで日本語を殊更好きだと言えなくもないが、現時点においては物凄く嫌いだ。

何より辟易するのが、その実用性のなさである。日本語は言いたいことをはっきり伝えるための言語ではない。情報伝達力が著しく欠けているのである。
正確性を期すれば期するほどその文章は非常に入り組んだ分かりにくいものとなり、曖昧さを回避するための言い切りは乱暴で無礼なものとして扱われることが多い。
狭い島国で育ったフィーリング重視の言葉は、ぬくぬくふわふわ、実に不安定な存在なのである。擬態語や擬音語の多さにも、その性質はとくと表れているだろう。

日本語の語尾は消えていく。やわらかく、やさしく、霧雨のような消え方をする。人々はそれを丁寧で上品であると解釈し、癖の強い生玉葱のような語調は敬遠される。いつまでも人々の耳に残り、他人を不快にさせるものとして白眼視する。柄の悪い女生徒などがよく口にする「なんとかでーなんとかなんだけどー」という話し方がまさにそれだ。人々は彼女達の話す言葉の内容ではなく、その声の調子にこそ、彼女達の特性を見出す。つまり不遜だとか、怒っているだとか、感じが悪いだとか、そういう言葉を投げかける。

ある時など柳生は、みんな英語を話せばいいと思う。事務メールを書いている時など特にそう思う。季節の挨拶や結びの言葉など、どうして必要なことがあろうか。悪戯に文字数が増えて、長々とだらしない文章になることは目に見えている。しかもそれらの文句は大体が定型文であり、オリジナリティは求められない形式美なのである。くだらない、要点が分かりづらくなるだけではないか、などと若い柳生は思うのだが、いかんせん礼儀作法を怠りたくないので大人しく文化を踏襲するしかない。

「ドイツ語ってかっこええよな」

くるくるとボールペンを回しながら仁王が宣う。手元にある数学の問題集には可愛げのない猫が描かれている。集中力が足りないと、真向かいの机で図書室から借りたノートPCをいじる柳生は思う。

「格調高い感じがしますね。言語同様、バッハの論理的に組み立てられた音楽にもドイツ人の堅実な性格は美徳として如実に表れていると思います」
「ふうん、なあ柳生、ボールペンってドイツ語で何ちゅうか知っとる?」
「Kugelschreiber」
「うわ、発音えげつな」

仁王は選択科目でドイツ語を学んでいる。来週末に試験があるということで、先日の部室で丸井と共にてんやわんやしていた。直後真田に怒鳴られたためしゅんとしていたが、勉強は進んでいるのだろうか。

「私はスペイン語が好きです」
「それはなんとなく分かる」

ふっと落ちるみたいにして仁王が笑ったので、柳生も綺麗に笑いかえす。

「柳生が好きだの嫌いだの言うんは心臓に悪いぜよ」

頬杖をつきながら発された台詞の意味が分からずに、柳生は、はて、と首をかしげた。


2009/06/21 (Sun)


☆ときめきトライアル19☆
断ち切る/不二


大石からメールがきた。はてさて何だろうと開いたら、何のことはない、最近流行りのチェーンメールだった。

またか。

湧き上がる苛立ちのままに返信をした。こういうの嫌いだから、送らないで。数日中には噂が広まって、もう不二の携帯にこの手のメールがくることはないだろう。
まさかあの真面目で実直な大石まで、頭の悪い、中身が空っぽのメールを甘受して悪趣味なレールの上に乗っかるなんて、つくづく世の中は絶望的だ。よもや手塚までこの俗物の習慣に侵されてはいないだろうな。

この前は菊丸からだった。今回のものとは違う内容だったが、同じように下らなくて根も葉もない迷信が長々と綴られていた。自分の携帯にそんなものが送られてくることを微塵も想定していなかったので随分と驚いたが、最初だったこともあって無視した。メールはすぐに削除した。今回堪え切れなかったのは、たった二回の衝撃だけで、もううんざりしてしまったからだ。不二には忍耐力が足りない。

こういう類いのメールが自分に回ってくることが嫌だった。こんな大衆に向けられた妄執を貰って不二が喜ぶと思っているのだろうか。それはひどく屈辱だった。怒りが胸を真っ赤に塗りつぶす。
もしかしたら彼らはそんなことは考えず、単純にメールにしたためられた文章に従って行動しただけかもしれない。だとしたらなんて頭が悪いのだろう。不二には理解できない。

取捨選択が出来ない人間を倦厭し、与えられた情報を鵜呑みにする人間を警戒する。疑えばいいということではない。自ら選んだり捨てたりする意思を持たず、受け流すだけという所業が幼稚で不快だ。
平気な顔で嘘をつく人間がいる。ありもしない作り話を、まことしやかに囁く人間がいる。妄想をしたり顔で吹き込む人間がいる。騙されるのは、信じてしまうのは、警戒心が足りないからだ。注意力が足りないからだ。自分が騙される可能性を考えていないからだ。もしくは騙されてもいいと思っているからだ。
それは困る。何もかもを信じないでほしい。偽の情報に振り回されて右往左往しないでほしい。誰かが何かを大声で言ったら、それまで信じていたことをすっかり忘れて脇にほっぽって、たとえ明確な証拠がなくても主張する声の大きさと自信に引きずられて判断を誤る。蔓延する詐欺に踊らされる。

楽しくてからかいがいのある人間は不二の人生における大事なエッセンスだけれど、自分の放つ適当な嘘や虚偽をまるごと素直に信じられて、責任や罪悪感を負わされるのは億劫だった。


2009/06/21 (Sun)


☆ときめきトライアル18☆
夢幻V/幸村と


誰かが君を愛している。だからそれは俺の仕事じゃないよ。冷たくなんかないだろう? 俺の領分を越えたところに君がいるから仕方ない。君が俺のところまで来るというなら考えなくもないけど、この距離じゃ流石にね、どうしようという気も起きないよ。泣きだすのはよろしくないなあ。俺が悪者みたいじゃない。良いやつではないのだろうけど、そこまで非道なことはしてないよ。ほら、今も君の話を聞いてあげてる。俺ってなんて優しいんだろう。

あああもう目の周りぐっしゃぐしゃなんじゃない? それってちょっとやばくない? 顔洗ってきなよ、まずいよ、それは。ていうかこの状況を誰かに見られたら俺の評判地に落ちるよね。うわあ、気が遠くなる。嫌だなあ、俺にもこう面子ってものが、あるんだよ、一応。まあ君からしたらどうでもいいのだろうけど。俺にとっても、まあ、そこまでのダメージじゃないからいいよ。そこらへん女の子は大変だね。一度噂を立てられたり目をつけられたりしたら終わりだろう? キツイね、可哀想に。
でもさあ、ここで俺と泣きながら話をしているのって、実は君にこそデメリットじゃない? ほら、俺結構もてるから。インランとかアバズレとか言われたりしない? ああいうのってマンガの中だけなの? 実際にあるの? ふうん、そう。面白いね。あはは、だって、他人事だもん。関係ないもん。他山の石、対岸の火事、関係ないよ、俺と君の間に何があるっていうのさ。うん、そうだね。だろう? 君だって俺のことなんか興味ないだろう? 愚痴りたいだけだろう? いいけどね、暇じゃないけど、飽きていたところだから。でも、もうそろそろ君の相手にも飽きてきたなあ。

なんか面白いことないかな。あ、ふたりで真田でもからかう? 面白いんだよ、あいつ。コツがあるんだ。大丈夫、できるよ。うんうん、案外いけるから。あいつはねー、本当に面白いんだよ。面倒くさくなんかないない。だーいじょうぶだって俺に任せな。うん、うんうん、馬鹿だな、そんなの、あいつはちゃんと君が好きだよ。

だめだなあ、不安なんか無駄遣いしてないでさ、俺のとこなんかこないで、ぶつかっていけばいいのに。可哀想だよ。うん、まあ、分からないでもないけどね。でもやっぱり俺はあいつ贔屓だし、それはしかたないよ。あいつが幸せなのが一番いい。極端な話、君じゃなくたっていいんだ。今のところあいつが君を選んだから、君に優しくしているだけで。君なんだよ、そうそう。俺はべつに全然わからないけど、あいつは君がいいみたい。だからもう、ほら、泣かないで、会いにいけば? あいつもやきもきして待ちくたびれているんじゃない? あんな見てくれだけど、実は奥手で打たれ弱いのかもよ。ほら、しっかりしろよ。リードしてやんな。もったいないよ、せっかくあいつに選ばれたのに。うん、頑張って。どういたしまして。

ああ、のど渇いた。



2009/06/20 (Sat)


☆ときめきトライアル17☆
淵/幸村と柳


生きているのに死が見える。

死ぬかもしれない幸村の前でも柳はいつも通り振る舞う。いつも通り、何もない頃の、部活で過ごしてきたままの友人でいようとする。微笑む幸村を前に、柳は軽い冗談だって飛ばしてみせる。変わってしまったことは自明なのに、変わっていない振りをする。何も変わっていない、変化なんかない、そういう顔をして病室にやってきて、話して、出ていく。

(白々しいんだよ、お前)

気遣いだか何だか知らないが止めてほしい。笑いながら、会話しながら、感謝しながら、しかし有難いはずの友人が心底うざったい。寂しくて哀れな幸村の元に足しげく通ってくれる柳を歓迎しないはずはないし、見舞いが嬉しくないはずはないのだけれど。

平静としている柳を見ると、幸村はいつも激しい焦燥にかられる。こんなことをしている場合ではないのに。こんなところで寝ているわけにはいかないのに。意味もなく利き手を閉じたり開いたりして、その手に何もないことにまた焦る。
幸村の体はだんだんと、時間に流されてラケットの感覚を忘れようとしている。代りにやけに眩しい蛍光灯や枕カバーの白にどんどん汚染されていく。全てを曝け出す白にほっぽられるくらいなら、暗闇に沈む方がよほどマシだ。闇はやわらかい。光は鋭い。特にこの部屋の光は、幸村の精神を刺し貫く苛烈さを持つ。

(お前が俺の何を知っているって? 何を分かるって? 何を尊ぶって?)

理解とは何だろう。幸村の見る世界を柳が見ることはないのに。幸村の気持ちは柳の心にはないのに。幸村にさえ幸村の気持ちが分からないのに、柳は幸村を分かったふりをする。何もかも許して受け止めてやれる最良の友人を演じようとする。
幸村に言われずとも、自分に全てを見通す力がないことくらい恐らく柳は知っている。その上で柳は選んでいる。脳内で勝手に思い描く幸村を尊重する。だから柳の本音を幸村が見ることはない。幸村も柳に本音を言わない。ぎりぎりに切迫した命の叫びを、幸村は柳に言えない。

幸村は自分同様追い詰められた誰かに傍にいて欲しい。とり澄ました柳ではなくて。幸村をまやかしの日常に連れ込もうとする柳ではなくて。命の瀬戸際を保険なしで共に歩いてくれる人が欲しい。地獄の淵でも手を繋いでくれる人が、幸村のために泣き通してくれる人が、未来を賭して幸村の腕に縋ってくれる人が欲しい。

不安で、腹立たしくて、焦る。
幸村はいつも悲しい。


2009/06/16 (Tue)