2009年6月20日
政府・与党は、昨日19日、衆議院で再議決を行い、海賊対処法を成立させた。
直近の民意を反映した国政選挙の結果である参議院は、海賊対処法に明確にノーを議決している。この意思をまったく無視しての議決は「暴挙」であり、私たちはこれを認めることは出来ない。
私たちは、本日、海賊対処法と自衛隊のアデン湾派遣について、緊急の学習集会を開催した。そこでの討論を経て、私たちはこの議決に厳しく抗議し、法施行の停止を求める。
私たちの立場は以下のとおりであり、今後も広く県民に訴えて行く。
1 アデン湾・ソマリア沖の海賊行為は凶悪犯罪であり、根絶させなければならない。しかし、海賊行為の解決のために自衛隊を派遣し、海賊対処法で対応することには賛成できない。
2 海賊行為の解決のためには根本的には、武力のみによるのではなく、海賊行為発生の背景にあるソマリア国の内政崩壊を解決し、安定した政治を確立する以外にない。
3 海賊行為自体の解決は、2004年の「アジアにおける海賊行為及び船舶に対する武装強盗との戦いに関する地域協力協定」(通称「アジア協定」)及び2009年のジブチ会合のような、その地域の国々の共同行動を基礎とすべきである。その際、わが国の海上保安庁の取締り能力(警備行動)を最大限に生かすべきである。
我が国は、ソマリア国の暫定政府や近隣諸国をはじめとする国際的な共同行動に積極的に参加し、関係諸国と共に食糧・医療・衛生・教育等の人道的支援及び海上警備行動の技術・資金協力等を通じて、海賊行為をもたらす根源そのものをなくすことに尽力すべきである。
また、政府はわが国に船籍を置く船舶に対し、海賊行為が頻発しているアデン湾の航路による物資の輸送ではなく、経費と時間がかかっても安全と考えられる喜望峰回りの航路の検討を指導すべきである。
4 「海賊対処法」は、「海賊対策」という大義名分の下に、「国会の事前承認」がないまま、「いつでも、どこへでも、自衛隊の海外派兵を可能」にし、「武器使用の制限も取り払って、事実上、無制限な武器使用を可能」にし、「他国の船舶の護衛」という「集団的自衛権の行使」をも容認するものである。
これは、自衛隊の海外派兵恒久法に匹敵する極めて危険なものであり、憲法九条に対する従来の政府見解からも大きく逸脱し、海外における恒常的な戦闘行為の容認につながるものであり、私たちは、到底容認できない。
5 国際的な紛争解決に当たっては、わが国は、憲法に依拠し憲法九条を生かす平和的な解決の道を目指すべきである。
私たちは引き続き、海賊対処法の施行停止とアデン湾からの自衛隊の撤退を強く求めるものである。 以上 |